空室率は上昇傾向で推移するも、テナントの動きは徐々に活性化。
本町の空室率大幅上昇
シービーアールイー(株)の調査によると、2021年9月期の大阪グレードAの空室率は、対前期(同年6月期)比0.2ポイント上昇し1.9%、グレードBの空室率は、対前期比0.6ポイント上昇して2.7%となった。オールグレードの空室率も、対前期比0.5ポイント上昇の2.8%となり、大阪の空室率は、前期から引き続き、総じて上昇した。
大阪オールグレードの空室率をエリア別に見ると、「堂島」「淀屋橋」エリアでは、前期より0.1ポイント低下、「中之島」「新大阪」エリアは、前期から変動なし、「梅田」エリアは、対前期比0.2ポイント上昇と、上記の5エリアでは、大きな変動は見られなかった。
一方、「本町」エリアの空室率は、対前期比2.9ポイント上昇と、他エリアと比較して上昇幅が大きくなった。これは、新築ビルが空室を抱えて竣工したことが、主な要因として考えられる。
中規模築浅ビルの稼働率上昇
前述したように、大阪の空室率は、全体的に少しずつ上昇しており、前期に引き続き企業による貸室の解約・移転の動きがマーケットに出てきている。解約の理由としては、業績悪化によるものもあるが、リモートワーク併用による一部減床や、一部減床にとどまらず、思い切った大幅減床に舵を切ったケース、拠点の統廃合に伴う解約、といったものが散見される。企業が、今後のオフィスのあり方を検討した結果が、このような形で現れたと思われるケースが増えている。しかしながら、人員増加による拡張目的の動きも増えており、コロナ禍で保留を余儀なくされていた企業の動きが、徐々に活性化してきた印象を受ける。
具体的な動きが少なかった中規模の築浅ビルでも、テナントの内定や稼働率が上がってきているのも、今期のマーケットの特徴として挙げられる。
一方で、前述したような新築ビルや大型ハイグレードビルのまとまった空室に対しては、コロナ禍以前と比較して引き合いが少なく、新築予定ビルの内定率も、ほぼ横ばいの状態が続いている。2022年には、約41,000坪の新規供給が予定されているため、これらの大型空室が、どの程度内定した状態で竣工を迎えることになるのか、注目していきたい。
関西支社 吉田 誠
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