空室増加に新規成約が追いつかず、様々なセクターの空室率が上昇傾向。
伏見・丸の内の空室率大幅上昇
CBREの調査では、今期(2021年9月期)の名古屋市オールグレードの空室率は、対前期(同年6月期)比1.0ポイント上昇し3.8%となった。館内増床や拡張移転が複数見られたものの、新築ビルが空室を抱えたまま竣工したため、空室率は上昇した。
空室の増加により、テナントの移転先の選択肢は増えている。また、貸主が、賃貸条件について柔軟な対応を行うケースが、一部で見られてきた。これらが、テナントの移転検討を促進する要因となっている。しかし、依然として、まとまった空室の消化には、時間を要しているのが実情である。来期以降に予定されている新規供給のプレリーシングの進捗も鈍く、今後も、空室率は上昇する見込みとなっている。
グレード別に見ると、今期のグレードA賃料は、対前期比-0.7%の27,300円/坪。空室率は、対前期比0.3ポイント上昇し、3.3%となった。まとまった空室を抱えるビルを中心に、募集賃料の引き下げや、フリーレント付与などの動きが見られた。グレードBの空室率は、対前期比1.5ポイント上昇し、3.8%となった。
エリア別に空室率の変化を見ると、「伏見・丸の内」エリアは、対前期比2.2ポイント上昇し、4.2%となった。前述したように、空室を抱えたまま竣工した新築ビルの影響である。それ以外では、「名駅」エリアで対前期比0.4ポイント上昇し4.5%、「栄」エリアで対前期比0.5ポイント上昇し2.7%、「名古屋東」エリアで対前期比0.2ポイント上昇し1.6%となっている。
エリア、ビルグレード、面積帯を問わず、新規の空室は増加している。そのため、新規成約のスピードが追いつかず、各エリア、各グレードで空室率上昇という結果となった。
テナントの動きは徐々に増加
しかしながら、テナントの動きは少しずつ増えてきている。業績好調、業容拡大など、前向きな動機で移転を計画する企業からの相談も少なくない。オフィスのあり方、人員の働き方により、使用面積、立地、賃貸条件などの精査には、より慎重になりながらも、意思決定する企業が出てきている。
コロナ禍の影響もあり、これまでは、比較的小規模面積帯のテナントの動きが中心であったが、中・大型面積のテナントの動きも、少しずつ増えてきている。空室率の上昇による選択肢の増加や、条件 緩和が重なることで、今後、テナントの動きが活発化してくることが予想される。
名古屋支店 池田 倫大
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