梅田・本町の空室増加により、
グレードB空室率が上昇。
新築ビル竣工時の稼働率低調
シービーアールイー(株)の調査による、2023年3月期の大阪グレ ードA空室率は4.2%と、前期(2022年12月期)より0.1ポイント低下した。空室の長期化リスクを回避するため、募集賃料を引き下げるなど、条件調整が行われ、成約する傾向が続いている。
大阪グレードB空室率は3.5%と、前期より0.3ポイント上昇している。その背景には「梅田」「本町」エリアでの空室増加がある。
大阪オールグレード空室率を、エリア別に見ると、「梅田」エリアは、対前期比0.7ポイント上昇し5.5%、「堂島」エリアは、対前期 比0.9ポイント低下し5.9 %、「中之島」エリアは、対前期比0.2ポイント上昇し2.6%、「淀屋橋」エリアは、対前期比0.1ポイント低下し2.8%、「新大阪」エリアは、対前期比1.0ポイント低下し7.4%となった。また、「本町」エリアでは、今年3月に「本町ガーデンシティテラス」が竣工しており、空室率は、対前期比1.4ポイント上昇の4.3%となった。新築ビルの竣工時点の稼働率は、エリアやグレードを問わず、低調になっており、需給バランスは、不安定な状況が続いている。
企業の動きは徐々に回復
今後も、大阪中心部で新規供給が続くため、需要を上回るペースで、空室率の上昇傾向は続くと見られる。2023年の供給は5,500坪にとどまるものの、2024年には過去最大となる99,000坪、 2025年 に は28,700坪が予定されている。そのため、既存のオフィスビル、直近に竣工した新築オフィスビルの空室リスクを回避したいオーナーの市場心理は、今後のテナントの不動産戦略に、大いに影響を与えるだろう。
ここ数年のコロナ禍の影響で、各企業の不動産戦略は停滞していた。しかし、オフィス移転のみならず、入居中のビル内での増床や拠点の統合・集約など、空室率の上昇を一因に、徐々に回復基調にあり、アフターコロナのワークプレイスの再定義が、進んでいるように見受けられる。オフィスマーケットを取り巻く環境は、海外の政情不安や景気後退など、外的要因を注視する必要があり、先行きの不透明感があるなか、今後の不動産戦略策定のため、マーケットトレンドの把握と、速やかな意思決定をすることが重要である。
関西支社 三島 玄吉
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