広島:大型空室や自社利用区画の募集により、広島の空室率は大幅に上昇。
テナント需要は停滞
シービーアールイー(株)の調査による、2020年12月期の広島市内中心部の空室率は3.5%と、対前期(同年9月期)比および対前年同期(2019年12月期)比ともに1.6ポイントの上昇となり、全国の他都市に比べ、大幅な空室率上昇となった。
コロナ禍の状況下、移転や出店を検討する企業の意思決定が鈍化したものの、昨秋頃から徐々にではあるが、停滞した移転計画を再始動する企業の動きが見られた。今期は、企業の撤退や大型解約が多数発生したわけではなく、一部の大型空室の顕在化や、自社利用区画が空室募集となったことが、上昇の要因になったと言える。
テナント需要の停滞が見られるなか、広島県が経済施策として企業立地促進助成制度を発表し、県外資本企業の本社機能の一部を広島県内に移転促進するプロジェクトが話題を呼んだ。リモートワークの拡充やICTの活用による、新しい生活様式としての働き方の世の中への浸透状況は、今後も注視していく必要があるだろう。
今年は、賃貸オフィスビルの供給予定はないが、2月完成、5月開業を目指し、地上19階・地下1階建、延床面積43,500㎡の「ひろぎんホールディングス本社ビル」の建設工事が進んでいる。省エネの最新技術を採用し、環境にも配慮した本物件の誕生は、ランドマークビルとして、今後の広島の注目物件になるであろう。
岡山:15~20坪の解約増で、空室率は上昇。100坪前後のニーズは、依然として根強い。
岡山の空室率はやや上昇
岡山中心市街地の空室率は、今期もやや上昇した。これは、15~20坪前後の営業所や、出張所規模のオフィスの解約が増加しているためで、リモート営業の増加が要因であろう。これまでは満室のビルが多かったが、どのビルも小規模の空室を抱えており、これらの空室は新設企業の面積帯であるため、経済活動が停滞している現在はニーズがない状況だ。一方、岡山では大型となる100坪前後の解約が出ると、この規模の空室を待っていた企業が手を挙げ、解約予告期間中に決まることもある。コロナ禍でも、景気に左右されない業種の典型だろう。
岡山では県庁の耐震改修工事が始まった。前川國男の設計で築60年以上経つが、国際組織で近代建築の保存を目指すDOCOMOMOの選定を受け、後世に残すべき建物となった。岡山市役所は建て替えで、2026年供用開始予定である。新旧を楽しみたい。
広島支店 辻﨑 寛人 / 越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 11,000円~13,000円/坪 | 築浅・大型物件は引き続き高稼働中。一部移転集約が見られたが、JR・高速道路へのアクセス至便もあり大きな動きはない。 | |
広島駅南 |
10,000円~14,000円/坪 |
大型空室が消化され、市場は小規模貸室のみ。引き続き一定の需要はあり、今期も堅調に推移。 | |
八丁堀・紙屋町 | 11,000円~17,000円/坪 | 大型ビルの空室が顕在化。新型コロナの影響もあり、需要が鈍化し、空室率に大きな影響があった。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 解体予定の物件の計画変更により、空室が再度募集開始。需要および賃料については横ばい。 | |
岡山桃太郎大通り | 9,500円~13,000円/坪 | 再開発で立退需要が出るものの、オフィス系のニーズが少ない。 | |
岡山市役所筋 | 11,000円~14,000円/坪 | 駅前の大型空室は依然人気が高く、解約予告が出れば決まる状況。小規模の案件は動きが鈍い。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | ほぼ満室状態。今後の新築案件は、2,000坪以上の区画となる。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,300円~4,000円/坪 | 新築案件が出てきてはいるが、既存倉庫の空室は少ない状態。 | |
岡山倉庫・配送センター | 3,000円~3,800円/坪 | 前期に続き中・大型物件の空室が少ない状況。需要は減少傾向にあり、開発予定案件への引き合いも少なくなっている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。