複数物件で大型面積が消化され、空室率は4%台まで低下。
仙台駅東口に需要が流入
シービーアールイー(株)の調査によると、2017年6月期の仙台市中心部の空室率は4.5%と、対前期(同年3月期)比1.0ポイントの低下となった。前期に続き、空室率は大幅に低下している。
今期の低下の大きな要因としては、大型空室を抱えた物件数棟で、大型成約があったことが挙げられる。移転企業には、宮城県と仙台市の企業立地助成制度を利用したコールセンターやデータセンターが見られた。このような用途では、大型面積を使用することが多く、エリア内の空室消化に大きな影響を与えている。また、その他のオフィス需要についても、拡張移転や館内増床等、引き続き前向きな動機の移転が多く、空室の減少が続いている。
市内全体に空室が少なくなったこともあり、以前は「仙台駅西口」エリアに需要が集まりがちであったが、「仙台駅東口」エリアの物件についても、空室消化が進んでいる。特に大型空室のある物件には、複数の相談案件があり、大型面積を必要とする企業は、より空室確保が難しくなってきている。
中小規模の面積帯では、耐震物件や、築年数を経ていてもリニューアル工事を行った物件に需要が集まっている。リニューアル工事を行うことにより、入居テナントが増えた物件も見られる。新築予定案件がない現在の仙台のマーケットでは、既存物件でもリニューアルにより付加価値をつけることがテナント誘致につながっており、空室消化を目指すための有効な手立てとなっている。
賃料は依然二極化傾向
空室率の低下に伴い、想定成約賃料も、築浅物件を中心に上昇傾向にあり、仙台駅周辺の物件について特にその傾向が見られる。一方で、その他の物件では据え置きの状態が続いており、築浅物件と既存物件の賃料水準の二極化が続いている。
仙台市以外の東北主要都市については、空室も少なく安定した状態が続いていたが、今後、大型空室が発生する可能性のあるビルがいくつか出てきた。需要動向を見ると、仙台エリア同様、増床・拡張等の前向きなニーズが多いため、空室が発生しても早々にテナントが決定する可能性もあり、今後はマーケットに動きが出てくるものと思われる。
仙台支店 岩城 和利
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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仙台市中心部 | 13,000~16,000 円/坪 |
空室率の低下が進み大型空室も減少、テナントにとっては選択肢が少ない状況。また、比較的築年数の浅い物件や大型物件で、募集賃料の上昇傾向が続いている。
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郡山市 | 9,000~13,000 円/坪 |
新規供給がなく、引き続き需給はタイトな状況が続いているが、一部で大型空室が発生し、今後の動向が注目される。
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盛岡市 | 9,000~11,000 円/坪 |
市内での拡張、郊外からの移転により、空室は順調に消化されている。特に大型面積の空室は少なく、希少性が増している。
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倉庫・配送センター 注文建築 |
3,500~4,500 円/坪 |
大型マルチ倉庫が竣工、引き続き大型需要の受け皿となっており、早い段階で空室区画が消化される予測。中小型倉庫は一部に空室情報が出てくるようになったものの、優良物件では退去前に次の入居者が決定するなど、依然、需要は旺盛である。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。