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対談:ワークスタイル変革の時

今こそワークスタイル変革の時思い切った発想の転換が賃料コスト大幅減の決め手

逼迫するマーケットのもと、いかに執務スペースを確保するか
 

ワークプレイス・リサーチ・センタ
代表
小田 毘古

 
 

シービー・リチャードエリス株式会
FMコンサルティング部
シニアコンサルタント 渡辺 紀子

経営視点の欠如が招いた賃料上昇による問題点

渡辺 近年、景気回復による企業の人員採用意欲の上昇で、執務スペース確保が急務となっています。私どもファシリティマネージャーとしては、今後、かつてのバブル期のような安易な分室化が主流になるようでは、非常に残念なことですね。

小田 これまで主流となっていた統合移転は、財務的なメリットが主題でした。分室をつくらなければならない場合でも、オフィスのコストを、いかに下げるかをまず重視すべきでしょう。その意味では、現在所有している自社物件の活用が最善の方法であり、例えばソニーは藤沢にあった工場をオフィスに転用してコールセンターなどを移転させて成功しました。

しかしながら、日本の大手企業の多くはバブル以降、オフバランス中心の考えで、特に首都圏の自社物件を売却してしまっています。その結果、人員が増えれば借り増さなければならなくなり、今日では高い賃料を払わざるを得なくなっている。オフィスが分散すると、賃料はもちろんですが、分室との行き来の交通費や書類などの輸送費、ワーカー数当たりに設置を義務づけられる担当医のコストなどが増えるため、企業としても分室はあまり増やしたくないのが事実でしょう。

渡辺 しかも、これまでは人の増減に合わせて比較的容易にビルを移れましたが、今は人員増に対応する器がない。中長期の計画がないために、対応が場当たり的になってしまっている感が否めません。

小田 本来、こうした不動産戦略は経営の問題なのです。それを総務の視点だけで対応しようとするから問題だと言えます。不動産やオフィス賃料は数年ごとに上下するのですから、経営の視点に立った長期的なスキームが重要なのです。

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機能分析による分室化がコスト削減のメリット大

渡辺 統合した状態が一番いいのは事実ですが、現実には大手企業はもちろん、ベンチャー企業でも分室を設置する企業が多いですね。しかも部門単位での分散がほとんどですが。

小田 部門で移してデメリットが少なければそれでいいのですが、できればそれぞれの部門の機能を分析して移すほうがより効率的でしょう。例えばファイナンスでも、財務は経営の中心にあるべきですが、単なるアカウンティングは近くにはいらない、人事なら人事戦略は経営に密着しているが、福利厚生は違うなど、本社におく必要がある機能に優先順位を付けて選択するのです。さらにコスト面から、分離した機能をどこまで遠隔地に持っていけるかを考える。分室というよりも、ヘッドクォーターとバックオフィスといった機能分けです。本社が丸の内で、仮に立川で賃料が50%下がるならコスト減になりデメリットは少なくなります。気をつけたいのは、本社の近場にいくつもの分室を蛸足的に設けること。コストがかかるばかりか、業務効率も大幅に低下する危険性があります。

渡辺 ヘッドクォーターとバックオフィスに分けるのには、詳細な業務の棚卸が必要となり、かなりの労力がかかります。ただ、社内の部門同士の関連度や顧客との関係などを考慮して切り分ければ、メリットは大きいわけですね。

小田 そうです。ただし、どのような方法であれ、大きな課題となるのが通勤の問題です。バックオフィスを郊外に移転すると、従来と比較して遠距離通勤になる人が出てきてこれまでどおりに働けなくなります。昔は社宅で対応する手もありましたが、今はそういう時代じゃない。とはいえ、バックオフィスが山の手線内じゃコストメリットがでない。結局、これで挫折するケースが多いのです。

ITを積極的に活用したワークスタイルの変革

渡辺 安易な分室の設置は、想像以上に弊害が多い。ただ、対策をとろうにも、できる手段は限られている。経営者が頭を悩ますところでしょう。

小田 経済環境の変化で増減する人員に合わせ、オフィスの分散や統合を繰り返せば、それだけコストがかかり、経営を圧迫することになりかねない。「増員イコール分室」というのは昔のままの考え方で、いっそ、ワークスタイル自体を変えてしまうことを考えるべきだというのが、私の主張するところです。具体的には、フレックスタイムや在宅勤務、サテライトオフィスなどをもっと普及させること。極端な話、常に全員が一ヵ所にいる必要がない業務なら、無駄な通勤時間を費やさずに、その分を仕事に振り分ければ生産性は上がるとも考えられる。オフィスに固定席はなく、朝、会社に通勤するのは週1回くらいにして、打ち合わせが必要なら貸し会議室などを利用する。そうして、増員による執務スペース増自体をなくしてしまうわけです。

渡辺 ワークプレイスを考えるなら、ワークスタイルを考え直してみませんかというのが、本来、FM(ファシリティマネジメント)が求めるところですね。

小田 これは決して特別なケースではなく、例えば、ソフトバンクテレコムは、以前は社員全員が朝9時に出勤していましたが、顧客や社内での打ち合わせが午後に集中していることから、直行を認めて、午前の時間を自由に使えるようにしています。会社には行きますが、朝の通勤がなくなった分、時間を有効に使えることで生産性の向上に繋がっている。また、コスト減=オフィスのスペース減と考えて、フリーアドレスも導入。私が関わっているITベンチャー企業などは、10人しか入れないサイズのオフィスで20人が働いています。全員が集まるのは週1回くらいだし、座席もフリーアドレスなので対応できるのです。

以前、私が働いていたHP(ヒューレット・パッカード)は、02年のコンパック統合時、社員数約10,000人、分散したオフィスの床面積は合計16万㎡もありました。それが06年、社員数はさほど変わっていませんが、面積は1/3以下の5万㎡にまで削減することができました。社員が一ヵ所に集まればコミュニケーションが高まるという点だけに、必ずしも焦点を当てる必要はないし、ビジネスで成果を出すことを考えた場合、働き方がフレキシブルなほうが優秀な人材が集まりやすいとも言える。ITをもっと有効に利用すれば、スペース不足をカバーできる仕掛けが、きっとあるはずです。

渡辺 つまり、効率や成果をオフィスという器に頼るあまり、本当に働きやすい環境や仕組みをつくっているかどうかという点に疑問があるわけですね。確かに、目視ができて、直接会話しないと部下の管理はできないと思っている上司は多いようです。それに、PCを社外に持ち出すとセキュリティに問題があると誤解している経営者も多い。

小田 それは意識の問題でしょう。日本の企業は社員を信用しない性悪説でものを考えている企業も結構ある。それに会社に対する愛情を持たせるような教育がないことも原因のひとつでしょう。欧米や一部の大企業は、性善説や性弱説で社員を捉えていて、その弱さを守るためのトレーニングや教育、コンプライアンスの意識を徹底し、同時に成果に対する評価制度も完備しています。セキュリティに関しても、安全性を高めるツールがたくさんあるのに、それを十分活用していません。会社に愛情が持てれば、それを裏切るようなことは、簡単にはしないでしょう。

渡辺 分室だけが答えではない。きちんとしたモラルを持って仕事ができれば、時間が有効に使えて、生産性も向上するということですね。そして、そのためにはワークプレイスづくりを総務だけの業務と考えず、経営の課題として、人事や情報システム部も含めた対応をすれば、アイデアは多様化していくと。

小田 そうです。思い切って働き方を変えることで、社員も満足し会社もコストが下がり、生産性も上がるのです。そのために、例えば「次世代育成支援対策推進法」の活用なども、もっと考えるべきでしょう。

渡辺 これからの少子化時代に向けて、現状のワークスタイルにこだわると生産性の改善が難しいのはもちろん、優秀な人材を集めにくくなるデメリットもある。その意味で、今日が働き方の多様化を考える岐路にあるのですね。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2007年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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