私たちの暮らしになくてはならない社会インフラの一つ「物流」。
経済活動の始点である「生産」と終点である「消費」の間を繋ぐこのシステムによって、私たちの暮らし、そして日本、世界が支えられていると言っても過言ではありません。
つまり、物流を考えることは、私たちの未来を考えることになります。
この連載では、世界100カ国以上で事業用不動産サービスを展開するCBREグループの日本法人であるシービーアールイー株式会社が、日本国内の注目すべき物流用不動産をご紹介しつつ、そこから見える私たちの未来を考えていきます。
連載の第6回目は、目の前に迫った「2024年問題」や日本特有の震災リスクへの対応を重視した「アーバンロジスティックス箕面」をご紹介します。
歴史のある「物流適地」に新たな可能性
― まずは、この箕面という土地の特性についてお聞かせください。
山本:はい。箕面市は周辺に位置する吹田市や茨木市、豊中市と並んで古くから住宅街として人気のエリアです。いわゆるベッドタウンですね。
また、1960年代のトラック渋滞問題をきっかけに、大阪市中央区の船場地区に集積していた繊維卸商が集団で地名を引き継いだまま移転し「箕面船場」と呼ばれる繊維街が形成されていて、物流の要地としての顔も持っています。
― そのような歴史のある箕面市の中でも、このアーバンロジスティックス箕面が建っているエリアにはどのような特徴がありますか?
山本:このあたりは2018年に大阪府が造成・分譲した新しい産業団地です。住宅街からは少し離れていて、なおかつ箕面船場よりも北に位置します。
そのため、立地の特徴として、一つは広域配送に適していること、もう一つは配達可能人口が多く、市街地配送に適した土地であるという特徴がありますね。
― 広域配送と市街地配送が両立できるというのは、どのような理由からでしょうか?
山本:この場所は、新名神高速道路の箕面とどろみICから約2キロと至近で、なおかつ大阪市街地へ伸びる箕面グリーンロードにも面しています。
そのため、新名神高速道路を利用して西へ向かえば神戸JCTまで約20分、岡山まで120分、東へ向かえば高槻JCTまで約20分、京都南ICまで約30分と、関西全域をカバーし得る広域配送の拠点としてご利用いただくことができます。
加えて、人口の多い市町村に近接していること、箕面グリーンロードを使えば住宅街を通ることなく大阪市街地まで約30分でアクセスできることから、関西の主要物流立地と比較して、高速道路を利用した30分商圏の人口は、他エリアより優れた結果が出ています。市街地配送のための中継拠点としても利用価値が高いのはお客さまにお喜びいただけるポイントです。
― 広域配送と市街地配送の両方が叶う土地柄ということですね。
山本:そうです。箕面船場は歴史のある物流要地ですが、それだけに各事業者が自社物件として持っている比較的小型で老朽化した倉庫が多いという特徴がありました。そこへマルチテナント型倉庫(※ 複数のテナントが入れる大型倉庫のこと)が生まれたことに、大きなメリットを感じる方は多いのではないでしょうか。
さらに今後、新名神高速道路が全線開通すれば神戸から名古屋まで1本に繋がりますので、東京方面への配送にも使えるようになるでしょう。
非常に高いポテンシャルを持った土地だと言えます。
― 次に、働き手の確保についてお聞かせください。
山本:はい。先ほどもお伝えしたように、箕面市は大阪のベッドタウンという顔も持っています。住宅地として人気のある箕面市は人口が増加していて、物件近隣・箕面森町エリアの人口は、街開きされた2007年と比較しても増加傾向です。
そして、2024年3月には北大阪急行線が箕面萱野駅まで延伸することが決まっており、大阪中心部へと伸びる地下鉄御堂筋線にも直結されます。そうなれば、働き手の確保はさらにしやすくなっていくでしょう。
また、近年は働く方が快適に過ごせる工夫をこらしている倉庫も増えています。このアーバンロジスティックス箕面でも、広々として明るい休憩スペースを備えるなど、アメニティにも配慮されています。
強靱な地盤でBCP対策にも
― さきほど、新しい造成地であるというお話しがありました。周辺は小高い丘に囲まれているようですが、この土地が開発されたのには交通の要所であるという以外にも理由がありますか?
山本:おっしゃるように、このあたりは丘陵地を切り拓いて作られた土地なので、物流用地として見た場合には震災リスクに対して非常に強いという特徴があります。
そのため、ご興味を示してくださるお客さまの多くが、BCP(※ Business Continuity Plan:事業継続計画)をその理由として挙げられていますね。
実際、このアーバンロジスティックス箕面にご入居が決まっているテナント様は、医療関係のEC事業者様です。震災時こそ物資の配送が求められる企業様から選ばれているということが、この土地の特性を非常によく表していると思います。
― 広域配送と市街地配送が両立でき、なおかつBCP対策として有効な土地というのは希少ですね。
山本:そう思います。震災対策がなされた倉庫は、都心部ではどうしても賃料が高めの設定になってしまいがちですが、この立地であれば安く抑えられます。
また、南海トラフ地震が起これば関西エリアにも少なからず影響が出ると言われています。物流という社会システムの基礎を動かし続けるために、転居やリスク分散を見据えたご要望でご相談をいただくことが多いです。
省人化・自動化も見据えた設計
― 「物流2024年問題」が眼前に迫り、各社が様々な対策を行っています。そのうちの一つが「省人化・自動化」ですが、アーバンロジスティックス箕面ではどのように対応されていますか?
山本:倉庫内での省人化ではモノを素早く出し入れすることが求められますが、マテハン(※ マテリアルハンドリングの略。物資運搬のこと)を自動化するためのロボットを動かすためにはいくつか条件があります。
一つが、床面がきれいであること。ロボットによっては床面に貼った二次元コードを元に動くため、誤認識を減らすためには汚れの少ないことが重要です。
次に、広くて柱が少ないこと。ロボットの導線をできるかぎりシンプルにするためには、障害物は少ないほどいいということになります。
最後が、床が完全に水平であること。重量物も扱うことのあるマテハンロボットは傾斜が苦手であることが多いためです。
いま日本では倉庫の老朽化が問題になっていますが、そういった古くて小型の倉庫では自動化をしようとしてもなかなか難しいところがあります。
一方、このアーバンロジスティックス箕面であればさきほどの3つの条件は全てクリアしていますので、先進的な倉庫として2024年問題にも一役買えるかなと思っていますね。
― 新しい物流適地として、この箕面が2024年問題に貢献できることは多そうですね。
山本:そう思います。新しい設計で省人化がしやすいことだけでなく、冒頭にお話ししたような立地の強みも活かして、効率性の高い倉庫内作業と配送に貢献していきたいです。
― 今日はありがとうございました!
- 所在地
- 大阪府箕面市森町西2-4-1
- 交通
- 新名神高速道路 箕面とどろみIC2.0km
- 規模
- 地上4階
- 竣工
- 2023年1月
- オススメ
- 築10年内
- IC 5km内
- EV
- 即入居可
- 天井5m〜
- 高床