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アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド 高原 義宣 氏

国内外の爆発的な需要を第3のハブへ。人材・インフラ基盤が充実した北九州を拠点に、アジアのDCハブを育てたい。

アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド

米系不動産投資会社、アジア・パシフィック・ランド(APL)グループは、北九州市に大規模データセンター(以下DC)の建設を計画している。同社にとって、DCセクターへの投資は今回が初めて。不動産投資会社でありながらDC投資開発事業に参入した経緯、最初の建設地に北九州市を選んだ理由を、同社の日本拠点であるアジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッドの日本における代表者、高原義宣氏に訊いた。

アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド
日本における代表者・最高投資責任者(アジア)

高原 義宣

アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド 日本における代表者・最高投資責任者(アジア) 高原 義宣氏

需給のアンバランスに着目し、不動産投資会社がDC事業に参入

私どもアジア・パシフィック・ランド(APL)グループは、1994年創業の米系不動産投資会社です。日本では不動産証券化の黎明期である1997年から東京事務所を開設しています。創業以来、我々はこれまで主に、超大型のオフィスビルへの投資や運営、マルチテナント型商業施設の投資開発や運営に加え、メガソーラーやホテルの投資開発など、マーケットより半歩先を行くことをモットーに取り組んでまいりました。現在は新たな投資対象として、福岡県北九州市に大規模なデータセンター(以下DC)の建設を計画しております。

不動産投資会社の我々がなぜDCの投資開発に乗り出すのか。それは、業界内の競争が激化する昨今、従来のような1件1件のディールを中心としたビジネスでは利益が上がりにくくなっており、新しい「事業」を立ち上げる必要性を感じていたからです。思い起こせば、コロナ禍の2020年頃より、ニューヨーク事務所のリサーチチームと次世代投資対象の選別を始めました。我々が着眼したのは「需給のアンバランス」です。明らかな供給不足が生じている領域にこそ商機があると考え、DC投資開発の事業化に向けて、本格検討を開始しました。

リサーチによって、2021年時点の日本における一人当たりの使用データ容量は、2006年時点のアメリカにおけるそれと同等、つまり、日本のDC整備がアメリカより15年程度遅れていることがわかりました。2006年といえば、スマートフォン以前です。すでに東京圏や大阪圏を中心にDCの新規供給は進んでいますが、それでも我々の試算では2026年までに約800MW程度の超過需要が発生していると見込んでいます。これは、AIやIoTの加速を加味する前の国内需要のみを前提とした需給ギャップです。我々はさらに、東アジアにおける地政学的リスクを避け、日本にDCを移転させるリホーム(rehome)需要が生じていることをつかみました。これらの国内外の需要を積み上げますと、日本にはDCの爆発的な需要が存在することになります。すなわち、東京圏および大阪圏で計画されているDC供給計画だけでは足らず、2大都市圏に加わる第3のDCハブを構築するチャンスが生じているとみて、 DC投資開発事業をスタートするに至りました。

アジアに近い立地と人・行政・インフラの基盤が魅力

不動産投資の観点からすると、どの投資セクターも立地が重要であり、人口や企業が集積する大都市圏近傍が望ましいことになります。しかし、DCには大規模な土地と大量の電力が必要であり、他にも様々なDC適地が備えるべき要件を満たすとなると、大都市圏でDC用地をタイムリーに見つけるのは近年、難しい状況です。先ほど、「2021年時点の日本のデータ利用状況は2006年時点のアメリカと同等」と述べましたが、2006年のアメリカはちょうどDCの分散が始まった時期です。そうであれば、日本でもDCの分散を検討するタイミングと考え、東京圏および関西圏からの大地震リスクの回避という意味でも地理的な分散性を有し、他にも様々なDCハブの適地としての優位性を持つ九州北部を候補地に選定しました。我々にとっては、九州は2007年から大型商業施設への投資運営実績があり、土地勘や必要な行政ネットワークもある土地であったことが有利に働いていると思っています。

最初の投資先に福岡・北九州を選んだ理由は、安定的・コスト競争力のある電力供給、豊富な再生可能エネルギー活用が見込めること、関東圏・関西圏からの地理的分散性、インターネットエクスチェンジとの近接性、海底ケーブルの陸揚げ局との近接性など、DCとしての基礎的な立地用件に加え、アジアに近いことを挙げました。九州は昔から「アジアへのゲートウェイ」を掲げています。前述の地政学的リスクを避けたリホーム需要の受け皿となり、国内での第3のハブになのみならず、アジアのハブになり得るのではないかと考えたわけです。そして、北九州は近現代、製鉄、そして自動車産業という国の基幹産業基盤が充実しています。産業基盤があるということは、それをサポートする人材、行政、インフラの三つが整っています。中でも人材は重要な要素です。アメリカの例を見ても、最大のDC集積地・バージニア州のダレス(首都ワシントンD.C.近郊)には、バージニア州立大学など多数立地し、そこから輩出される優秀な若者を取り込んでDCが一大産業に発展した経緯があります。日本で若者比率が高いと言われる福岡市や、ITやテック系の高度人材を輩出する研究機関や大学を多く抱える九州北部は、人材面からもDCの好立地になり得ると考えました。

第3のハブ創りに必要なエコシステム構築に向け、長期的な視野に立った投資計画を策定中

需給のアンバランスや将来性を見込んで始めたDCへの投資開発事業ですが、大規模な土地や電力の確保という観点から、長期的な視野に立った投資計画を練っています。先ほども述べたように、DC建設には大規模な土地が必要であり、第3のハブ候補地での土地探しには日本では必ずと言っていいほど農地と行政が関係してくることになります。大規模な農地をDC素地とする法整備も進んでおり、我々もこの活用に積極的に取り組んでいます。また、大規模な電力の接続にも時間がかかる。つまり、土地が真にDCの「素地」となるまでの時間が長期を要する場合があるということです。これが従来の投資案件との違いとなる大きな一部分であり、早く建てて売りたい短期的な収益化を狙う不動産投資会社の参入が難しい理由かもしれません。

ただ、需給ギャップがある以上、誰かが埋めなくてはなりません。我々は様々な需要家の方々と話をする中で、九州で、第3のハブの需要があるという確信を得ています。北九州はDC集積地としてはグリーンフィールドですが、そこを整備して、「いつでもいけます!準備OKです!」と需要家を招き入れることができる状態にしていく、第3のハブ創りに必要なエコシステムを構築していくことが、我々の役割だと思っています。幸いにも我々は、必要な土地探しやリサーチ、デューデリジェンス、設計作業などの先行投資を自社グループ資金で賄いながら、収益化するまでの期間をホールドすることが可能です。また、社員には経験豊富な国内デベロッパー出身者が多数おり、土地の見極めから許認可の取得プロセスまでの知見やノウハウも有しています。こうした強みがあることも、我々がDCという従来の不動産投資開発と異なる事業を始めることができる理由となっているように思います。

アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド

ライバルは韓国や東南アジア、 国内、米系を中心に大手需要家を呼び込みたい

今年はDCの投資開発事業をスタートする意味で重要な年になりそうです。1号案件の予定地は北九州学術研究都市の事業用地約6ヘクタール、DCの規模を示す総受電容量は120MWです。その先はすでに約500MWまで拡張可能な土地のパイプラインを九州北部に保持しており、今後順次拡げていく予定です。今年の目標としては、需要を特定し、それを基に具体的な設計作業や、DC建設の許認可取得を並行して進めていきたいと考えています。

まずは、福岡・北九州をDC集積地として需要家の勢力図にきっちりと載せていくのが我々の仕事です。ライバルとなるのは東京圏でも大阪圏でもなく、実はアジアだと思っています。需要家、特に海外勢からすれば日本にこだわる必要はないため、隣国である韓国や東南アジアも含めた競争になることは間違いないでしょう。韓国では、 DC集積地のソウルからの分散が積極的に進められていて、半島の東側に商機があると見る人も多いようです。日本海を挟んで九州北部と韓国東部が有力なマーケットになるかもしれません。

投資家にとっても、中長期で見れば一般的な投資以上に付加価値の高いアセットになるはずです。「国策に売りなし」という格言があるように、行政も支援するDC案件は一大投資マーケットを形成する可能性が高いと思います。我々は1号案件を手始めに、その次も視野に入れて準備していきたいと考えています。

アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド

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上記内容は BZ空間誌 2024年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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