※ 本レポートは2025年4月に発表されたものです。
昨今、オフィス空室率の低下が続く大きな要因の一つは大型グレードアップ移転の増加である。2024年、東京の概ね1,000坪以上の大型移転の件数はコロナ禍前に迫る水準まで回復。移転理由ではグレードアップ移転が2019年以降で最多となった。移転の主な受け皿となっている築浅グレードAビルの稼働率は上昇、今後の開発計画の内定率も上昇傾向にある。テナントのオフィスのグレードアップと拡張の意欲は今後も堅調とみられる中、都心の築浅ビルの空室は希少性が高まってくると予想される。
1.2024年の大型グレードアップ移転の件数は過去6年間で最多
昨今の企業業績の改善基調を背景に、オフィスの空室率は低下基調が続いている。2024年Q4の東京23区のオールグレード空室率は対前年同期比-1.2ポイントの3.5%と、3年ぶりに4%を下回った。2023年に大量供給のあったグレードAについては同-1.5ポイントの4.2%。空室率の低下に伴い賃料は上昇基調が続いており、特にグレードAの賃料は対前年同期比+5.2%と2015年以来の高い伸び率となった。これらの大きな要因の一つが大型のグレードアップ移転の増加である。東京における概ね1,000坪以上の大型移転の件数は、2024年にコロナ禍前の2019年に迫る水準まで回復。移転理由ではグレードアップ移転(より高いクオリティ、より立地の良いビルへの移転)が2019年以降で最多となった(Figure 1)。
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1.2024年の大型グレードアップ移転の件数は過去6年間で最多
2.グレードアップ移転の受け皿としてグレードAビルの稼働率、内定率は上昇
3.希少性が高まる築浅大型ビルの空室

作成:2025年4月