エリアの集客力を知る上で一つのヒントとなる、最寄駅の乗降客数。各鉄道会社別に発表されるものは目にするかもしれないが、このように、JR、地下鉄、私鉄各社を 地図上で一覧にまとめた資料は、あまりないのではないだろうか。さらに同地図では、対象駅に乗り入れる各社路線の乗降客数を合計し、エリア全体の乗降客数として記している。人が動くところ、集客力があるところにビジネスチャンスが潜んでいるとするなら、この乗降客数の地図は、立地ポテンシャルを指し示す指標とも言えるだろう。
まず単純に、1日にこれだけの人が東京各所の駅を往来しているのかと驚く。東京23区の人口が約900万人であることと比較して、新宿の366万人、渋谷の301万人、池袋の251万人が、いかに膨大なボリュームであるかがうかがえる(ちなみに、JR駅単体の乗降客数では、1位が新宿駅の174万人、2位が池袋駅の109万人、3位が東京駅の94万人となる)。新宿、渋谷、池袋といった東京西部に位置する副都心の巨大なターミナル性は、こうして比べてみるとまさに桁違いであることがわかる。
次に乗降客数の多さが目立つのがJR山手線と京浜東北線が並走する各エリアだ。東京駅を中心に、秋葉原駅、上野駅、有楽町駅(銀座)、新橋駅、浜松町駅、田町駅、品川駅と50万~100万人の乗降客数を誇る。同ライン上の伝統的なビジネス街として、意外に少ない乗降客数なのが神田駅で25万人程度。同エリアは、隣接する秋葉原やお茶の水とひとくくりに考えるべきなのだろう。JRの沿線を外れると、乗降客数はぐっと少なくなる。地下鉄の巨大ターミナルである大手町駅で35万人、赤坂見附駅や永田町駅、赤坂駅、溜池山王駅、国会議事堂駅などをすべて含めた赤坂エリアでも37万人といったところ。六本木や青山、麹町、霞が関に隣接する伝統のビジネス街である虎ノ門も、ご覧の通りの水準となっている。