リーマンショック以降の動き
リーマンショック以降、企業のオフィス移転需要はコスト削減目的が大半を占めた。そこで注目されたのが、ビルのグレードが高く賃料水準が低廉で、統合移転の受け皿となり得る広いフロアプレートを持つ都心郊外の大型ビルである。しかし、郊外への移転メリットは、コスト削減効果だけではない。広い敷地で複合再開発が行われたエリアでは、"仕事場"以外の要素、例えば大型ショッピングセンターや飲食店、アメニティ施設、公園等、オフタイムを充実させる機能も備えているケースが多く、従業員満足度を高める効果も期待される。さらに、郊外といっても、近年は鉄道延伸等の交通網の拡充で、都心中心部まで意外なほど短時間でアクセス可能となっている。ここでは、「品川シーサイド」「二子玉川」「台場・有明」「豊洲」「木場」「みなとみらい21」を取り上げ、オフィス立地から見た各エリアの魅力を紹介したい。
各エリアについて
グラフ:賃料水準は、対象エリアにおいて、規模・設備等でエリアを代表すると考えられる複数のオフィスビルの想定成約賃料をベースに、リーマンショック時の2008年9月を100として試算(みなとみらい21については、2009年9月を100とする)。
交通:
所要時間には乗換・待ち時間を含まない。
また、時間帯により多少異なる。
主な企業や開発事業について:
各社ホームページによる。
右グラフについて
オフィスジャパン誌「賃貸不動産市場、その動向と相場(東京)」に掲載された主要3区、都心7区、周辺13区の賃料レンジを2000年以降抜粋(参考)。
品川シーサイド
「品川シーサイドフォレスト(地図赤枠)」は、りんかい線延伸による新駅「品川シーサイド」の2002年開業に伴い、隣接する日本たばこ産業(JT)工場跡地を核に、約9.6haの区域を対象に実施された市街地再開発事業。7棟の高層業務棟と、大型店舗棟、高層住宅棟で構成される。業務棟は大型のワンフロア面積を確保できるため、大手企業のオフィスが名を連ねている。
「杜のみどりの中の街」の開発コンセプトが表すとおり、公開空地には植栽が多数配置されており、ランチタイムには外でくつろぐビジネスマンの姿も多く見受けられる。大型ショッピングセンターと隣接するため買物も至便。運河サイドからの開けた景観も魅力となっている。街の真下にある「品川シーサイド」駅からは、千葉方面(新木場駅)や大宮方面(JR埼京線と相互直通運転)へのアクセスが良好で、渋谷駅へもわずか13分と、通勤利便性にも優れている。
交通
りんかい線「品川シーサイド」駅
- 渋谷駅 13分(JR埼京線直通)
- 新宿駅 18分(JR埼京線直通)
京浜急行線「青物横丁」駅
- 品川駅 3 分(京浜急行線)
- 羽田空港国際線ターミナル駅 17分(京浜急行線直通)
- 横浜駅 19分(京浜急行線)
首都高速湾岸線「大井I.C.」近接
主な企業(順不同)
日立ソフトウェアエンジニアリング、日立ソフトシステムデザイン、楽天、楽天証券、バンダイビジュアル、バンダイナムコゲームス、三菱総研DCS、コナミスポーツ&ライフ