050-5447-7862

平日 9:00〜17:30

物件を探す

事業用不動産のあらゆるニーズを網羅するサービスと豊富な実績で、お客様の課題を解決する最適なソリューションをご提案いたします。

お役立ち情報

CBREが手掛けた、さまざまな業種・規模の移転事例のご紹介を始め、オフィスや物流拠点の移転に役立つ資料・情報をご提供しています。

マーケット情報

独自収集したデータを元に、不動産マーケットの市況を分析予測し、市場変化をいち早く捉え、ポイントをまとめた市場レポートを配信しています。
また、物件レポート、業界トレンド情報など、事業用不動産の最新情報、トレンドを配信しています。

CBREについて

事業用不動産の分野において、世界有数の企業であるCBRE。日本国内におけるその強み、拠点、会社概要をご紹介します。

ヘルプ

物件検索の使い方や、会員サービス、よくあるご質問など、当サイトをより便利にご利用いただくための情報をご紹介します。

仲介業者様はこちら

賃貸オフィス・事務所の記事

第6回(最終回) 人と場をデザインする「感性・五感投資メソッド」の期待価値と実践導入手法 元スクウェア・エニックス総務部長 岡田大士郎 氏

CRE&FMの役割

このシリーズも最終回となりました。
シリーズを通してお伝えしてきた事は、皆さん一人ひとりが、生活や暮らしに潤いを感じ、働く楽しさや喜びを実感できる「幸福人生」実現のためのデザイン術でもある「Happy Living Work Style」の価値、そして、如何にしてそれを実現していくかについてお話してきました。

多くの方々は、これまでの話は、どちらかというと「理念・観念的」で理想論の話であり、実際的にはどうすれば良いのか?との実践手法を知りたいと思われているのではないでしょうか。
働き方のスタイルは、「フリーアドレス」から「ABW」、そして 「WAA」や「フリースタイル・ワーキング」にトランスフォームしてきています。「フリースタイル・ワーキング」の先にある「Happy Living Work Style」を社会に実装させるための、「人間」に寄り添う「場」の構築に必要な投資と経営者への説得手法、そして場つくり投資の効果測定の考え方について、私流の“感性・五感投資メソッド”の期待効果の価値と基本設計、ならびに実践的な実装手順についてお話ししたいと思います。

まずは、働く人々のポジティブ心理を触発する感性価値と効果について整理しておきます。 キーワードは、「場」、文化と風土、価値創造、知識創造活動、エンゲージメント、喜感力、ワクワク空間、喜働、五感、感性、幸福度、ウェル・ビーング、働き方の見える化、センシングテクノロジーです。

不動産やファシリティ(以下CRE&FM)投資効果の測定は、「コスト削減効果」や「業務効率化」等の財務的な定量指標を軸として評価される傾向にありますが、本来、CRE&FMは、組織の経営基盤を支え、働く人々の幸福度を高めることにより社会価値創造の触媒的な役割を担っています。
CRE&FM投資が果たす価値創造の主体を人ととらえ、「価値創造力」や「エンゲージメント力」さらには「幸福度」といった人的貢献感性指標を新たな評価軸に加え、組織社会における知的生産活動の時空間たる「場」へのCRE&FM投資価値を、より分かりやすく経営ならびに社会に示してゆくには、アプローチのステップとストーリー構築が重要です。

その手順とは、まず始めに、人間の感性や行動、さらには幸福(ウェル・ビーング) に焦点を当てたCRE&FM投資の在り方を探り、知識創造活動を支える「場」への投資意義とその投資効果を可視化することにより、経営視点のCRE&FM意義を、ハード面とソフト面から考察することが不可欠です。

ご移転計画のあれこれ、お気軽にご相談ください

CBREでは事業用不動産のプロフェッショナルチームが、お客様の経営課題や不動産にかかわるさまざまな課題解決をサポートします。

CRE&FM理念とその本義

組織のミッションは、「安心、安全で豊かで幸福な社会と暮しの実現」であるはずです。
組織活動におけるCRE&FMの理念とは、組織の経営や運営の基盤をつくり、そこで働く人々の幸福ワークスタイルを演出する事により、組織の価値創造活動に活力をもたらしていく、まさに経営の根幹の理念です。

組織で働く人々が、仕事を義務感や建て前に縛られて「苦役」と感じてしまうようなワークスタイルは、価値創造につながらないだけでなく、組織価値そのものを毀損しかねません。
CRE&FMの本義は、組織社会で働く人々が、ワクワク楽しく仕事ができる組織社会の「場」を構築し整備・維持してゆくことであり、その投資意義は、環境面や空間演出、そして働く人々の潜在能力を遺憾なく発揮できるワークプレイスを創造し、働く人々が、仕事を「苦役」としてではなく「喜働」と感じられる世界を実現していくことにあります。

CRE&FM投資の意義とその効果・効力を、金銭視点のみに焦点を当てるのではなく、知識活動の原動力たる組織内ナレッジワーカーたちの意欲発出につながる効果を見込める投資価値を、経営層にわかりやすくかつ的確に経営判断ができる情報として提供する事がCRE&FMプロフェッショナルの責務です。

「人と場」への感性・五感投資の意義とねらい

【連載】Happy LivingWork Styleを実現してゆく「働き方改革」の新思考~ワクワク「場」つくりと幸福働~

知識創造活動に従事している人たちの「想い」や「幸福感」という要素が、企業価値を高める効果がある事を経営層に伝え、そうした要素を触発させるCRE&FM投資手法を活用した感性・五感投資の意味、並びに納得感のある評価手法と測定方法を経営に示すことが求められます。

この実践手法を導入するにあたり、CRE&FM投資対象としての「場」の意味と、その概念を整理しておきましょう。
私は、「場」には四つの視点があると考えています。
第一の視点は、経営の器たる物理場としての「建物・オフィス空間」であり、働く人たちが暮らすリアルなワークプレイスの視点です。いわば、職場の衛生環境や機能環境の視点と言えます。この現実空間である物理場をつくり維持する、CAPEX投資及びOPEX(家賃や設備費等コスト)は、組織にとって人件費に次ぐ大きな投資金額となります。

第二の視点は、組織の文化や風土、そして規範、規律、制度といった組織の枠組みの視点です。 それぞれの組織には歴史があり、その時空間の中で醸成・蓄積されてきた独特の文化が存在する。そして、文化が醸し出す風土は組織の個性をつくりだし、「場」の本質を理解するうえで重要となります。

第三の視点は、組織内に存在する知識・情報資産をナレッジワーカー達の知識創造活動に有効かつ効果的に活かせる「ICTバーチャル空間」の視点です。組織内のコミュニケーションを活性化させる仕掛けとして不可欠の要素であり、イノベーションを誘発する要素である事を認識しておくことが必要です。

そして、最も重要な四番目の視点は、組織で働いている人々の「想い」や「思惑」「感情」「気持ち」といった心理視点です。 組織は人間の集団であり、様々な個力が結集して価値創造活動を行っています。組織の原単位である人の「想い」、つまり、価値創造に励む人々の意欲、熱意、生き甲斐、喜び、感謝、楽しみ、満足感、そして幸福感こそが、価値創造活動を支え、刺激し、イノベーションを沸き起こす原動力となります。人々の「想い」を「場」の概念に織り込んでおく事が重要です。

「人と場」へのCRE&FM投資とは

さて、次に「人と場」へのCRE&FM投資の意味について考えてみましょう。
一般的にCRE&FM投資とは、不動産、ビル・オフィス等の設備機能の維持改善等、いわば建築・設備・内装、デザインそして管財といったインフラや設備オペレーションに関わる投資・コストと考えられる傾向があり、その投資評価基準は専ら金銭的評価に偏るケースが多いと思います。

一方、「人と場」へのCRE&FM投資とは、上述の通り、働く人々の「想い」やアイデア、そしてコミュニケーションネットワーク基盤を支えるICT環境の高度化・洗練化を推進する基盤つくりへの投資、そして、働いている人がポジティブな「想い」を持って知識創造活動を行う「創造的知識ワークプレイス」の構築を意味する投資です。 「創造的知識ワークプレイス」とは、様々な価値創造に貢献するプロフェッショナル・ナレッジワーカーたちが、活き活きと創作・創造活動に勤しみ、一人ひとりの個力たる「個の知性・感性」を、協創のプロセスを経ながら「組織の知性・感性」に転換すべく、活気ある対話や議論が沸き起こる価値創造活動の「場」を意味する概念です。

「人と場」へのCRE&FM投資の期待効果

では、具体的にどのようなCRE&FM投資を行えば、知識創造活動の時空間たる「場」の価値を高めていくことができるのでしょうか。
日常のCRE&FM投資事例を考えてみましょう。例えば、オフィス移転、オフィス環境改善、働き方改革を目指したフリーアドレスやABWに合わせた環境整備、昇降型デスクの導入、最新エルゴノミクスを取り入れた椅子、照明設備・機器類更新、社員食堂の新設やフリーフードサービスといったCRE&FM投資の究極的な目的は、知識活動を担い、価値創造やイノベーション起こしてゆくナレッジワーカーの知識活動「場」の居心地を高め、やる気と熱意そして能力発揮を促す事を目的としています。

もちろん、価値ある成果物を生み出せるか否かは、それぞれの個の能力や運、そしてセレンディピティへの閃きや気づきの差に依るところが大きいですが、閃きの頻度を高め、知的刺激を与え続けてゆく上記のような「場」の環境や仕掛けの整備(投資)が、ナレッジワーカーの知的生産性を高めてゆく効果を期待する投資です。決して、見た目や設備の不具合を修理・修繕することだけを目的としているものではない点を、経営層は理解しておく事が必要です。

「人と場」へのCRE&FM投資効果の評価主体

CRE&FM投資効果の評価主体、換言すれば「CRE&FM投資に関わる費用対効果」を評価測定する対象となる要素には、財務視点での「コスト・リターン」、つまり投資に対しどれだけのコスト削減が見込まれるかといった金銭要素が中心となります。
加えて、ここで論じている付加価値創造効果の要素を評価対象と考える事が必要です。この要素の評価測定主体は、働く人々の「意欲」や「働き方」 が生み出すプロセスの価値と、創出された限界的付加価値の総額です。
つまり、働く人の情熱、熱意、やる気、人間力、実践力、完遂力等の個力の継続的発出を支えるプロセスや環境の価値と、その活動により産み出された成果物の価値に着目する考え方です。
働く人個々の熱意とやる気レベルを上げてゆく投資とは、人間本来の特性や、感性、感覚(五感)、情動、そして感情に及ぼす影響・効果を認識し、働く人の「想い」や「意欲」を高められる理想的な知識創造活動の時空間を創出してゆく感性投資ともいえるものです。 この感性投資の本質を理解するには、組織で働く「人間」の本源を探求する事も重要な視点となります。

投資効果の評価手法と価値測定の考え方

【連載】Happy LivingWork Styleを実現してゆく「働き方改革」の新思考~ワクワク「場」つくりと幸福働~

次に、こうした知識活動の結果、創出された価値を評価し、そのレベルを客観的に測定するには、どのような手法が取り得るかについて考えてみます。

・意識調査手法

働く人々への意識調査手法として、従業員満足度調査や幸福度調査と呼ばれる手法があります。すでに多くの企業等で実施されている伝統的な手法ですが、この手法は、働く人々の意識の傾向を知るのには有用ではあるものの、知識創造活動のプロセス評価や創出された価値との相関性を測定する事はできません。
意識調査手法の限界は、設問の仕方次第で結果が変動する事があり、また回答する側が本音で回答をしない可能性がある事(匿名としても本人特定リスクがある)、そして、自由記述により得られる情報には、価値創造プロセスを客観的に測定し得る情報は少なく、要望や組織批判的な意見が出てくることもあり、組織改革のための情報としては有用ですが、投資効果の測定には慎重に取り扱う必要があります。そして最大の問題点が、意識調査方式は、社員が会社側から管理されている意識を払拭できない事にあります。
人間の心理として、管理監督されている監視社会下では自己に不利益を被る恐れのある「調査」には、本音で答えるのに躊躇する事を認識しておかねばなりません。

・センシング技術を活用した評価測定の手法

意識調査手法の問題点を補い、より客観的に価値創造活動のプロセスや、働く人々の日常の行動、個々人のコンディションやワークモード、そしてオフィス内環境変化をリアルタイムで感知し可視化する手法が、IoT & AIテクノロジーを活用したセンシング手法です。
この手法の利点は、人間の知的活動の状態や創造的プロセスを客観的にセンシングする事により、例えば、働き方改革を推進する目的で行ったCRE&FM投資効果が、働く人々の意識や行動にどのような変化を及ぼしたかを、客観的に測定し得る可能性を秘めた手法と言えます。
ただし、この手法の重要な課題は、プライバシー問題との兼ね合いであり、適切な利用方法を確立することが重要です。あくまで、働く人々個々人が自分自身の仕事を能率的かつクリエイティブモードに入りやすくする目的に利用すべきものです。
具体的には、自分の体調やコンディションを知るバイタル・フィードバックや、過去1ヶ月の仕事作業と行動履歴のチェック、そして、暮らしと仕事のライフワークバランスチェックといった、自立的に知的生産性を高める情報を知るためのツールとして活用することが大切です。 一方、組織側は、個人情報とのコンフリクトを回避し、組織の集合情報として知的生産性効果測定に活用していく事が重要です。結果的に、組織全体の価値創造・創出力レベル向上に資するものと考えられ、センシング環境構築と整備は、CRE&FM投資効果測定の有効な手段となります。

最後に、Happy Living Work Styleを実現してゆく「働き方改革」の新思考と題し、6回のシリーズでお伝えした事を総括してみたいと思います。

私は、CRE&FMプロフェッショナルの社会的ミッションは、どのような職種であれ「幸福社会場創造」だと思っています。先ずは、自分自身、そして家族、属するチームやグループ、組織、さらには社会の「幸福」つくりを、それぞれの立場で担ってゆく働き方こそが、ワクワク「場」つくりと幸福働「Happy Living Work Style」と考えています。

そして、その働き方を社会に実装していく担い手は、ウェルネス・コンシェルジュ兼「場」のプロデュサーたる総務CRE&FMプロフェッショナル、ならびにプロを支える洗練されたサービサーの役割だと思っています。

著者プロフィール

岡田大士郎 氏

岡田大士郎 氏

日本興業銀行(現・みずほ銀行)において、ストラクチャードファイナンスなどの投資銀行業務や海外業務(ロンドンに勤務)、ならびに国際税務業務を20年にわたり経験後、ドイツ銀行グループでDirector, Head of Taxesとして国際税務統括の業務に従事。
2005年にスクウェア・エニックスに入社し、2007年まで米国Square Enix, Incの社長(COO)として米国事業に携わった後、2007年に本社に帰任。「組織風土並びに働き方改革」をミッションとして総務部長に就任。
その後、ミッションであるクリエイティブワークプレイスの構築を進め、2012年に本社スタジオの全面移転や2015年には大阪事業所の移転プロジェクトに関与。クリエイティブワークプレースダイナミクスの実践と、コンテンツ制作業務における価値創造支援を行う「場」作りに取り組んできた。
2018年3月にスクウェア・エニックスを退社後、一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム並びに一般社団法人日本ライフシフトの理事として、幸福社会創造の活動に取り組んでいる。

2015年のJFMA優秀オフィス賞を受賞。
2014年1月より一般社団法人ファシリティ・オフィスサービスコンソーシアム(FOSC)の理事・東京支部長として総務人事FMの普及活動に取り組んでおり、2016年1月には副代表理事に就任。
また、ニューオフィスマネジメント研究会の参与として、総務ネットワークの拡大に取り組んでいる。
2017年11月には一般社団法人日本ライフシフト協会理事に就任。

■岡田大士郎のFM日記  http://blogs.yahoo.co.jp/daishiro_okada
■一般社団法人ファシリティ・オフィスサービスコンソーシアム(FOSC) http://www.fosc.jp/

 

ご移転計画のあれこれ、お気軽にご相談ください

CBREでは事業用不動産のプロフェッショナルチームが、お客様の経営課題や不動産にかかわるさまざまな課題解決をサポートします。

記事を探す

物件をお探しのお客様専用窓口

CBREの記事をお読み頂き誠にありがとうございます。
ご移転のプランニングや優良未公開物件の仲介をご用命の際は右記のフォームからお問い合わせください。

物件相談フォーム