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賃貸オフィス・事務所の記事

株式会社ニッセンホールディングス

点在する本社機能を京都駅前に集約。
メリットを活かすオフィスづくりで、業務ストレスを一気に解消。

オフィス移転プロジェクト事例 / ニッセン本社オフィス 受付

株式会社ニッセンホールディングス及び主要事業会社の株式会社ニッセン(以下、ニッセン)は、京都市内に本社を構える通販業界の老舗企業。もとは呉服のカタログ通販からはじまり、現在では、衣料品からインテリア雑貨まで、生活関連用品を総合的に取り扱う。そんな同社が2012年12月、38年の長きにわたり拠点を置いていた自社ビルを離れ、本社機能の一大移転を実施した。大がかりな移転プロジェクトを実行した背景について、同社取締役常務執行役員の市場信行氏に話を聞く。

本社機能の完全集約を狙い本拠地移転を決意

オフィス移転プロジェクト事例 / ニッセングループ ロゴ

ニッセンは、3000万人以上の顧客を保有する、カタログ・インターネット総合通販の国内最大手企業の一つ。接客対面することなく、IT技術を駆使したデータベースマーケティングに基づき、最適なチャネルの提案、顧客一人ひとりへ最適なサービスを提案する“One to One”の取り組みなどを展開している。

同社の業務特性上、事業拠点は支店・営業所等で全国に広がるものではなく、コールセンターと物流センターを除くすべての機能は本社への「一極集中」を原則としている。そこでの業務の重要性は、説明するまでもないだろう。業務の効率化と質の向上のためには、関係部署がいつでも連携を保てる環境が重要と考えており、そのため、新しく発足した組織を本社ビルに集約したり、移動距離を最小限に抑えた別棟に配置したりと、本社機能の一元化に尽力してきた。

しかし、経営拡大に伴い、同拠点における集約は飽和状態を迎えていた。実際には、自社ビル内に収まりきらない部署が、近くとはいえ、国道などを隔てた別棟や他にも1ヶ所と分散。そのストレスは相当に大きかったという。同社取締役常務執行役員の市場信行氏は「当社の業務は部署毎の縦割り式ではなく、組織横断で進められることが多い。会議やミーティングも頻繁に行われるため、何かあるたびに建物間の移動を余儀なくされていました。ほんの数分の距離でしたが、建物間をまたいで移動することは単に億劫というだけではなく、業務上も効率が悪い。時間の管理が本当に大変でした」と当時の状況を語る。

オフィス移転プロジェクト事例 / ニッセン本社オフィス 商談室

また、本社機能の各組織が多層階に分かれていたことも改善を考慮すべき点だったという。「仕事では、必要な業務連絡さえできればすべてが満たされるというわけではありません。常日頃から顔を合わせ、些細なやりとりからいい仕事につながることも多々あります。ですから、目の前にバリアがあるとその分だけコミュニケーションも阻害され、業務にも支障が出るわけです」。

こうした弊害を取り除きながら組織力を強化していくための第一歩として、本社機能移転という選択が持ち上がった。「部署を越えて連携を保ちながら、みんなで新しいサービスを考えていける職場環境を構築するためにも、まずは場所のインテグレーションを徹底することが重要だと考えました」と市場氏は述べる。

市街地へ移転のメリットは移動の簡便性と社員の意識改革

オフィス移転プロジェクト事例 / ニッセン本社オフィス ミーティングルーム

本社移転の計画については、過去にも何度か検討されていたという。データベースマーケティングを軸とする同社では、本社機能のシングルロケーションという条件を満たせば、地理的なこだわりは少なかったという。しかし、通勤の変化にかかる社員の負担に配慮すると、移転の範囲はおのずと制限される。そのなかで、全組織を収容できるキャパシティがあり、なおかつ少ないフロアで展開できる場所を探していたとき、シービーアールイー(CBRE)から物件の提案を受けた。2011年初めに最初の打診があってから数ヶ月の検討を経て、京都駅徒歩5分に位置する「イオンモールKYOTO」内に本社機能の移転を決意。2012年1月に全社へ発表し、同社総務部に本部を構えた移転プロジェクトを正式に発足。同年12月に移転が実現した。

新本社オフィスの専有部分は同施設内の5階と6階で、旧本社ビルと別棟1ヶ所に配置されていた本社機能のほとんどを約2,500坪の2フロアに集約。立地環境も京都駅から徒歩約5分の好アクセスに恵まれている。出張や来客を迎える拠点としても最適であり、市場氏は「以前は京都中心部からも遠く、さらに最寄り駅からも時間がかかる場所にあったため、人足が遠のいていたところもありました。しかし、今回の移転により京都駅至近となったことで、大阪の取引先の皆さまはもちろん、東京から大阪までの移動のついでに当社へ立ち寄ろうという人も増えてくるでしょう。そのような機会をビジネスチャンスにつなげていきたい」と期待する。

オフィス移転プロジェクト事例 / ニッセン本社オフィス 会議室

実は、同社の社員は約7割が女性で、その一部は会社の行き帰りに子供の送り迎えをしているなど個々に自動車通勤をせざるを得ない事情を抱えているという。そのため、駐車場の確保は移転の絶対条件だった。こういった問題を解決し、京都市内の中心部に新たな本拠地を構えた同社。社員がファッションにも一層気を配る風潮も生まれ、美意識の向上効果も期待できる。「まさか、こんな好条件の場所で展開できるとは思ってもいませんでした。たいへん幸運なことに、CBREさんのおかげで、業務改革を進めるための土台を整えることができました。社員の意識改革という面でも、理想的な環境だと考えています」と市場氏は話す。

デメリットをカバーした機能的なフロアレイアウトを展開

オフィス移転プロジェクト事例 / ニッセン本社オフィス 部署毎のパーテーションを廃止した見通しの良いオフィス

新拠点におけるオフィス構築のテーマは、「創造」「機能」「環境」の三つを柱とするクリエイティブなオフィス空間の創造だ。それらを実現するため、プロジェクトチームでは各部署の代表者に繰り返しヒアリングを実施しながら、社員の意見も取り入れた機能的なオフィスづくりに励んだという。

まず大きな課題となったのが、制限された空間で拡張性のある機能的なレイアウトを考えることだった。使用面積は移転前よりやや縮小する一方で、将来的な事業拡大に備えた余剰スペースの確保が必要とされた。

移転に向けまず取り組まれたのが、紙の資料の原則的廃止と、いわゆる“断捨離”を呼びかけたり、デスク、椅子、収納備品の規格の統一化や複合機など設備機器の共有化などの抜本的な執務スペース改革の実施だ。机や椅子、脇机、ミーティングテーブルなどの設備の多くは、メンテナンスや供給の継続についても問題のない自社の製品をオフィス向きにモディファイするなどしながら、実用性と経済性、空間性などを高めていった。コミュニケーションスペース(リフレッシュエリア)にパウダールームを確保、受付エリアに空間的な余裕を持たせる、ミーティングブースの種類を増やすなど、機能の充実についても十分配慮している。「余分なものを処分しながらも、新オフィスには何でも揃っているという状況を作りたかった。限られたスペースのなかで、必要な部分と不要な部分をどう切り分ければ快適になるのかを考えるのに苦労しました」。

また、見通しの良い巨大フロアというメリットを最大限に活用するため、部署毎のパーテーションを廃止した。市場氏は、ロケーションを集約した企業の例を参考にしたとき、社員の個性を引き出しながら自由な発想の飛躍を促すためには、ビジュアル的な仕掛けも重要だと感じたという。

パーテーションの廃止は、社内のコミュニケーションの活性化にも効果がある。シングルロケーションに加え、部署間で仕切りのないフロアを歩くことで、社員同士が気軽に会話する機会が増える。建物やフロアをまたぐ面倒も回避でき、同じ空間を共有することで部署毎の連携もスムーズになる。「とにかく、ここに来てから声をかけられる機会が増え、人と話すことが多くなりました。ぱっと顔を上げると必要な人が見えて、必要なときにすぐ集まることができる。その分、意思決定も早くなりましたね」と市場氏は語る。

オフィス移転プロジェクト事例 / ニッセン本社オフィス 社長室

その反面、パーテーションがないことについて不安もあったという。情報漏洩の問題だ。例えば、社長室では日常的に重要な情報が飛び交っており、隔離が必要な場面もある。「社長の意向は、フロア全体を見渡すため絶対に仕切りを設けたくないというもの。しかし、我々が最も気を使っているのはインサイダー情報漏洩であり、それを防ぐためにも社長室だけは隔離すべきだと考えていました。そこをどうするか、社長の要望を満たしながら、可能な限り情報を守れる環境を作ることができないかを模索しました」。その結果、社長室は前方のメインフロア側には一切の仕切りはなく、いつでも組織全体を見渡せるようになっている。それでいて、執務空間から凹型に奥まった空間内でデスクや家具の配置を工夫し守秘性を保っている。このような例からもわかるように、相反するアイデアをうまく融合させながら、機能的なオフィス環境を作り上げていくことはプロジェクトチームの重要な仕事だった。もちろん、守秘性が求められる重要な事案は、仕切られた会議室等で検討される。照明器具はニッセンで販売しているLED機器を使用し、経済的で明るい空間を実現。ミーティングスペースの壁にガラスを多く使用することで、窓のない閉塞感も見事にカバーした。さらには、打ち合わせのスタイルに応じて使い分けできる会議室を設けるなど、新オフィスで最高のパフォーマンスを引き出せるよう、環境が整えられていった。

的確な判断で意見を集約しながらメリットを享受できる環境を整備

オフィス移転プロジェクト事例 / ニッセン本社オフィス リフレッシュルーム

新たなオフィスづくりを進めるなかで、プロジェクトチームが最も苦労したことは、プロジェクトの先導指揮を執りながらも、バランス良く社内の意見を集約していくことだったという。プロジェクトチームで固めたことが、誰かのひとことで簡単に覆るようでは困る。一つずつ決定しながら、確実にものごとを進めていかないことには、いつまでたってもゴールにたどり着けない。そこで、プロジェクトチームに決定権を与え、社員はもちろん役員であっても、決定事項にはきっちりと従ってもらうという全社的なルールを設けたという。その代わりプロジェクトチームには、各所から持ち込まれる要望に関して、本質的なスペックとして必要なものなのか、それとも単なる我儘なのかを的確に判断する資質が求められた。「社員全員が平等に新拠点のメリットを享受できる環境を作りたかった。ただし、要望を全部聞き入れることは不可能です。どこで線引きするか、そして、その判断は正しいものなのかをしっかり見極めていくことがカギでした」と市場氏は話す。

“メリットを享受”といえば、プロジェクトチームでは、社員が同一施設内である「イオンモールKYOTO」の店舗を利用する際の従業員特典の交渉も行ったという。一般的なオフィスビルとは異なる商業施設内という特徴を、最大限に活かす施策を探るというスタンス。その結果、同施設内の多くの店舗でご協力いただけることとなった。商業施設と隣接する環境ならではのメリットだ。これは、もちろん同社の社員にとっても大きなプラスだが、「イオンモールKYOTO」内の店舗にとっても集客率の向上につながるため、双方にとって嬉しい話といえる。

オフィス移転プロジェクト事例 / ニッセン本社オフィス テラス

このように、実務的なことから付随した細部に至るまで気を配り、あらゆる角度から快適な職場環境の構築に取り組んできた。その背景には、「社員が喜んでくれることで労働意欲が高まり、職場の活性化につながればいい」という願いがあるのだ。「社員に不便を強いながら、企業の利益だけを追求するのは間違い。社員が気分良く仕事ができれば、結果として能率も上がり、ユニークなアイデアも生まれてくると考えています。建物やITシステムなど、いわゆるインフラは、働く人間のメンタル部分を支える重要な基盤ですから。

今回、新たなオフィスを作りあげたわけですが、もちろん完璧なものではなく、未完の部分もたくさんあります。それらは今後の課題として、少しずつ改善しながら万全を求めていきたいですね」と、市場氏は最後に今後の意気込みを語った。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2013年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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