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G-SHOCK STORE NAGOYA|プロジェクトケーススタディ

誕生から40年。販路の開拓 とともに、顧客を拡大し続けてきたG-SHOCK。
さらに、若者との接点強化を狙った直営店戦略。

G-SHOCK STORE NAGOYA

G-SHOCK STORE NAGOYA
カシオマーケティングアドバンス株式会社

クオーツ時計の全盛期に登場し、常に時計の常識を塗り替えてきたタフネスウオッチ・G-SHOCK。量販店から時計専門店まで、販路を拡大してきた歴史もまた規格外である。近年は直営店にも力を入れており、2022年8月には国内8店舗目となる「G-SHOCK STORE NAGOYA」を名古屋市栄の商業施設内にオープンした。直営店強化の狙いと今後の展開を、G-SHOCK誕生にまでさかのぼって解説する。

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誰もが知る人気時計ブランド 全国に8ヶ所の直営店を展開

カシオ計算機の「G-SHOCK」といえば、誰もがその名前を知る有名時計ブランド。耐久性と機能性に優れ、誕生から40年が経った今も、幅広い世代に愛されている。10年ほど前から同社が力を入れているのが、顧客接点としての直営店である。2022年8月には、国内8店舗目となる「G-SHOCK STORE NAGOYA」を愛知県名古屋市栄の商業施設「MARUEI Galleria(マルエイガレリア)」内にオープンした。これまでに、東京、大阪、名古屋、福岡、仙台、札幌など、国内主要エリアの流行発信地に出店してきている。

G-SHOCK STOREは、30坪から40坪の店舗に常時300点ほどのG-SHOCK・BABY-Gを取り扱っている。直営店の役割について、「お客様にG-SHOCKの世界観や最新情報をお伝えするとともに、お客様からの声を吸い上げて商品開発につなげるための重要な顧客接点として展開しています」と話すのは、G-SHOCK STOREを運営するカシオマーケティングアドバンス株式会社 代表取締役社長の鈴木裕之氏。2016年に出店した銀座店以降は、専門技師が電池交換を行うメンテナンスブースも併設されており、全商品が20気圧防水という特性上、一般の時計店では時間のかかる電池交換も即日で対応するなど、アフターサービスにも注力している。

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DX強化方針のもと顧客情報活用と ECとの連携を実現した名古屋店

名古屋店がこれまでのG-SHOCK STOREと違うのは、カシオがDX(デジタルトランスフォーメーション)に本腰を入れ始めてから初の店舗であることだ。鈴木氏によると、新型コロナの流行をきっかけに、同社でもこの2年間、急速にDXに向けた投資を行ってきた。「会社としても、顧客情報を活用したマーケティングや、ECと実店舗の連携強化を図っていこうというタイミングであり、それらを実現できるような店舗にしていきたいという想いがあります」と話す。

2021年4月 には、自 社のEC強化のため「CASIOオンラインストア」を大幅リニューアルするとともに、顧客向け会員サービス「CASIO ID」を導入した。CASIO IDに登録すると、オンラインストアで買い物をしたり、新製品情報やイベント情報などを受け取ったりすることができる。鈴木氏は「CASIO IDはまだスタートしたばかりで、顧客情報の収集や分析体制の整備はこれからです。ただ、ある調査では、数年内にG-SHOCKを複数本購入されるようなロイヤルファンは、世界で500万人、国内で150万人強いらっしゃるというデータがあります。これらのお客様とのつながりを強化していくうえで、顧客情報を収集できるCASIO IDの仕組みと、顧客と直接対話できる実店舗をうまく組み合わせて活用していきたいと考えています」と話す。

名古屋店では昨年12月と今年1月、専門技師がG-SHOCKのお手入れ方法を伝授する顧客向けのセミナーを、G-SHOCK STOREとしては初めて実施した。その集客に早速、CASIO IDの顧客情報が活用されている。セミナー案内をメールで送付したところ、定員が半日もかからず満席になったという。「セミナーでは、時計の裏に溜まった汚れの取り方や、G-SHOCKといえども時計を付けたままお風呂に入ってはいけない理由など簡単な説明だったのですが、参加したお客様には大変好評でした。永く愛されるブランドであるためにも、こうしたイベントを重ねていきたいと思っています」。店内イベントを開催できるよう、可動式の商品棚が設置されたのも名古屋店が初めてである。

他にも名古屋店から始まった取り組みとして、G-SNAPが見られるディスプレイやタブレットを設置した。G-SNAPとは、全国の直営店のスタッフがG-SHOCKやBABY-Gに合わせたコーディネートを提案するもので、これまではEC上でのみ展開していた。これを店舗でも検索できるようにするものだ。

「セミナーやG-SNAP提案など、商品を売るだけではない『体験価値』をより重視して作ったのが名古屋店です。とはいえ、まだ店舗の8~9割は売場が占めています。次の段階としては、体験型の部分を膨らませて、G-SHOCKのロイヤルファンが気軽に集い、コミュニケーションできるような場にしていけたらと考えています」(鈴木氏)。

G-SHOCK STORE NAGOYA

時計店や百貨店には置いてもらえない 新規開拓した販路で若者が飛びついた

時計は従来、主に時計店や百貨店の時計売場で売られてきた。カシオが直営店に注力するようになったのはなぜだろうか。「最初から全国区をめざした直営店戦略があったわけではなく、実験的に出してみようというところから始まりました」と鈴木氏。G-SHOCKの歴史には、意外にも「鳴かず飛ばずの最初の10年」があり、初期の販売苦戦が結果的に独自の直営店戦略につながっていったと言える。その経緯を追うために、まずはG-SHOCKの誕生までさかのぼろう。

「落としても壊れない低価格のデジタル時計」としてG-SHOCKが誕生したのは1983年。「大量生産の時代ですから、数を売る代わりにコストを下げて安く展開する。その先端を行っていたのがカシオでした。アナログ時計が全盛の当時、時計店や百貨店の時計売場には置いてもらえず、当初はやむなくホームセンターやスーパーなどのレジ近くにつり下げて売っていました」と鈴木氏は話す。

日の当たらない時期が10年ほど続いた。が、 1990年代初めに突然ブレイクする。渋谷で若者たちに売れ始めたのだ。「会社も『何が起きたんだ?』と。調べてみると、雑誌で取り上げられたり、『アメリカで売れているらしい』とか、『キアヌ・リーブスが「スピード」という映画で着けている』とか、ユーザーの口コミで商品が話題になっていたのです。この時に初めて、従来のような広告投下ではない、ユーザー発信のマーケティングに興味を持ち始めました」。

この頃から、若者をターゲットとして強く意識するようになっていく。ビームスやユナイテッドアローズなど若者に人気のアパレルと組んだコラボレーションモデルを企画したり、ボードスポーツのギア売場などの販路を開拓して若者との接点を増やしていった。G-SHOCKに火が付いたことで、本来の販路である時計店や百貨店の時計売場にもアプローチしやすくなった。「販路開拓は簡単ではありませんでしたが、若者に売れているという理由から、少しずつ置いてもらえる売場が増えていきました」と鈴木氏。当時は丸井やパルコなど若者が集まるファッション専門店の時計売場にG-SHOCKコーナーを展開し、若者と出会う場所を広げていった。

G-SHOCK STORE NAGOYA

若者との接点を求めて直営店出店 情報発信に加え顧客情報収集も目的に

そのような流れの中で出てきたのが、直営店 の出店だった。2003年12月、若者の情報発信地 だった東京お台場に約10坪ほどの店舗を実験 的にオープン。時計店のようにショーケースでライ トアップして商品を美しく見せるのではなく、壁面 にスケートボードと一緒にG-SHOCKを並べ、若 者カルチャーを意識した店づくりにこだわった。も う一つこだわったのは、G-SHOCK人気を根底 で支える高度な技術を直接顧客に伝えること。 「落としても壊れない耐久性は開発者としては絶 対に譲れない要素です。その技術者魂をしっかり 伝える場が必要だと感じていたのも、直営店を 出店した理由です」と鈴木氏は話す。

 その後2店舗目を福岡に、3店舗目のオープン は2013年、東京丸の内への出店となった。この頃、顧客情報や顧客の声をもっと製品開発に活 用しようとする動きが社内で出始めたという。「家 電量販店や百貨店を通した販売は間接的なの で、顧客情報がどうしても薄くなってしまいます。 もっと顧客のリアルを吸い上げ、開発や技術にス ピーディにフィードバックするための店舗を意識し 始めたのがこの時期です」。では、なぜオフィス街 の丸の内だったのか。「G-SHOCKブームが起き た90年代初頭に20代だった人は、30代40代に なってオフィスワーカーになっているはずです。丸 の内はそういう人たちとの接点になり得ると考え ました」。

その後、1~2年おきに1店舗ずつ出店し、昨年 誕生した名古屋店で、全国の主要エリアを一通 り網羅したのである。

時計ブランドから ライフスタイルブランドへ

大都市圏では名古屋店が最後の出店になったわけだが、実は、栄エリアに絞った候補地選びは2015年頃から始まっていたという。長引いたのは、「名古屋全体の再開発の動向や、栄エリアの再開発に伴う商圏勢力の変化の見極めを慎重に行う必要があったからです。出店する以上は中途半端にはしたくない、という想いが強くありました」と鈴木氏は話す。その後、コロナ禍で一旦計画はストップしたが、2022年3月開業の商業施設「マルエイガレリア」への出店話が舞い込んできたことで、トントン拍子に進んでいった。その物件は1階の路面に面した区画だった。「大津通からは1本奥に入った場所ですが、これ以上出店を先延ばしするのは得策ではないと判断しました。最初に提示されたのは20坪の区画だったのですが、その面積では要望に沿わなかったところ、 CBREさんを通じたオーナー様との交渉で、仕切り壁を動かし35坪に広げてもらうことができたのが決め手となりました」。

全国主要エリアに最低限の店舗数をそろえた今、今後は数を増やすよりも、現店舗をDX時代に合うようにリニューアルしていく方向になると鈴木氏は話す。「あとは、今とは違う新しい形態も、模索していく必要があるかもしれません」。

カシオがめざすのは、G-SHOCKをライフスタイルブランドに育てていくことだ。すでにアパレルなどの異業種と組んで、時計以外のライフスタイル商品を展開する「G-SHOCK PRODUCTS」もスタート。これまでにジャケットやパンツ、シルバーリング、帽子などを提供してきた。「今のところオンラインストア限定ですが、どれも完売するほど好評です。いずれはこうした商品もG-SHOCK STOREに並べ、ライフスタイルグッズ全体を取り扱う店にしていきたいですね」と鈴木氏は話す。

G-SHOCKがよりライフスタイル寄りに舵を切るのは、台頭が著しいスマートウオッチへの脅威も背景にある。「時間を知るだけの時計が取って代わられるのは市場調査からもあきらかで、特徴的な強いブランドでなければ生き残れないのは数年前から感じています。今や最初に手にする時計がアップルウオッチという若者も多いかもしれません。G-SHOCKへの入り口を時計に限らず、ファッションやスポーツの切り口から知ってもらうアプローチも必要だと思っています」。その意味でも、強力な顧客接点である直営店が担う役割は大きい。DX活用やECとの連携をさらに模索しつつ、G-SHOCK STOREの進化はまだまだ続きそうだ。

G-SHOCK STORE NAGOYA

プロジェクト概要

企業名 カシオマーケティングアドバンス株式会社
施設 G-SHOCK STORE NAGOYA
所在地 愛知県名古屋市中区栄3-3-1 MARUEI Galleria 1階
アクセス 地下鉄栄駅徒歩4分 サカエチカ8番出口すぐ
営業時間 11:00~20:00
規模 約35坪
オープン 2022年8月12日
CBRE業務 施設賃貸借仲介業務

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上記内容は BZ空間誌 2023年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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