割安感のある既存ビルで空室消化が進むも、
新規供給が主因で空室率は上昇
全国主要都市の賃貸オフィスビル市場動向をまとめた四半期レポート。
2022年第3四半期の空室率・平均募集賃料・需給面積を解説を交えて掲載。
GDP成長率 Q3 | 日銀短観DI Q3(全規模・全産業) | 東京グレードA賃料 Q3 | 東京グレードA空室率 Q3 |
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![]() +2.0% 予想値※ 前年同期比 |
![]() 3pts 前期比+2pts |
![]() -0.3% 前期比 |
![]() +1.7pts 前期比 |
※ 出所:日本経済研究センター
- 東京:新規供給を主因に空室率は上昇
今期(Q3)のオールグレード空室率は4.9%と対前期比0.6ポイント上昇した。新築ビルが空室を残して竣工したことが主因。企業のコスト意識の高まりを背景に、新築ビルよりも、立地やグレードに対し割安感のある既存ビルが先行して空室を消化した。オールグレード賃料は対前期比0.4%下落。2023年の大量供給を控え、競合する大型ビルを中心に賃料調整が続く。 - 大阪:オールグレードおよびグレードBの空室率はともに2年半ぶりに低下
今期のオールグレード空室率は3.5%と対前期比0.3ポイント低下した。グレードBを中心に、拡張移転や館内増床などで空室が消化され、全体の空室率を押し下げた。オールグレード賃料は対前期比0.1%の下落。引き続き、グレードを問わず募集賃料が2万円を超えるビルでは引き合いは鈍い。そのため空室を抱える高額帯のビルを中心に賃料が引き下げられている。 - 名古屋:高額帯のビルを中心に賃料調整が進む
今期のオールグレード空室率は5.8%と対前期比0.4ポイント上昇した。オフィスの集約や減床が空室率上昇の主因。中小型で、賃料が市場全体の平均並み(1万円台半ば)のビルの需要は引き続き堅調。オールグレード賃料は対前期比0.1%の下落。空室を抱える高額帯のビルを中心に、募集賃料を引き下げる動きが散見された。 - 地方都市:環境改善や拡張の意欲は強いものの、ビルの選定条件は厳しい
今期のオールグレード空室率は、10都市中5都市で対前期比上昇、4都市で低下、1都市で横ばい。空室率が上昇した都市では、いずれも新規供給が上昇の主因。オールグレード賃料は10都市中6都市で対前期比下落、3都市で上昇、1都市で横ばい。トップレントのビルや、相場に比べて割高感のあるビルで賃料が引き下げられている。