京都
空室率は初の1%割れ
今期(Q2)の空室率は対前期比-0.5ポイントの0.9%で1996年の調査開始以来の最低値を6期連続して更新し、初の1%割れとなった。空室率低下の主因は2つある。一つは、京都に本社を構える企業が拡張のために、本社に同居するグループ会社を賃貸ビルに移転させたこと。もう一つは、関西のインフラ系企業が新規ビジネスのためのオフィスを開設したことである。テナントの新規開設や拡張が多い状況は続いている。しかし、空室がほとんどないため、テナントは立地やビルグレードの条件を緩和しながら、オフィススペースを確保する姿勢を強めている。
今期の想定成約賃料は対前期比+2.3%の12,420円/坪。上昇のペースは加速しており、2期連続して2%を超える上昇率となった。賃料は、立地やビルグレードを問わず上昇しているため、テナントは移転先の条件を緩和しても、割安で入居することはできない状況だ。
Figure 15 : 京都市 オールグレード
空室率 | 対前期比 | 想定成約賃料 | 対前期比 | |
---|---|---|---|---|
オールグレード | 0.9% | -0.5pts | 12,420円/坪 | +2.3% |
神戸
移転ニーズは多いが実際の動きは限定的
今期(Q2)の空室率は対前期比-0.4ポイントの5.2%となった。空室率低下の主因は2つある。一つは、関西のインフラ系企業が新規ビジネスのためのオフィスを開設したこと。もう一つは、全国で積極的に新規開設を進めるスポーツ関連企業が新業態のスクールを開設したことである。しかし、ニーズの集中する三宮駅周辺に空室がほとんどないため、テナントの動きは限定的であった。同駅は、神戸のオフィスエリアのほぼ北端に位置するため、移転の受け皿となるビルがそもそも少ない。もはや駅周辺では、グレードが低いビルでも空室がないため、同エリアに移転を希望するテナントは、立地戦略を再考せざるをえない。
今期の想定成約賃料は対前期比+0.5%の10,830円/坪となった。ただし、賃料の上昇は、三宮駅周辺のビルに限られており、それ以外のほとんどのビルで賃料の伸びは横ばいにとどまっている。
Figure 16 : 神戸市 オールグレード
空室率 | 対前期比 | 想定成約賃料 | 対前期比 | |
---|---|---|---|---|
オールグレード | 5.2% | -0.4pts | 10,830 円/坪 | +0.5% |
広島
空室率は横ばい、テナントの様子見が続く
今期(Q2)の空室率は、対前期比横ばいの3.0%であった。ニーズに見合う空室がないため、テナントは動くに動けない状況にある。2016年までは建替えで移転を余儀なくされるケースが多く、立地に難のあるビルや築年数の経過したビルに移転するテナントも散見された。しかし、足もとのニーズは、拡張を伴う集約や築浅ビルへのグレードアップが大半である。しかし、今秋完成予定の新築ビルは現時点でほぼ満室の目途がたっており、既存ビルの中にはこのようなニーズを満たすものはない。移転の検討を先送りするテナントは今後さらに増える可能性がある。
今期の想定成約賃料は対前期比+1.0%の10,540円/坪となった。テナントのニーズが集中する大型ビルや築浅ビルの賃料は上昇しているものの、それ以外ではほぼ横ばいにとどまっている。テナントに建替えなどの切迫した需要が生まれない限り、賃料のさらなる上昇は限定的となる可能性が高い。
Figure 17 : 広島市 オールグレード
空室率 | 対前期比 | 想定成約賃料 | 対前期比 | |
---|---|---|---|---|
オールグレード | 3.0% | ±0.0pts | 10,540円/坪 | +1.0% |
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