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京都・神戸・広島・高松・福岡-JOMV2015年第2四半期

賃料相場

2015年8月18日

京都市

空室率は上昇、需要の潜在化懸念が浮上

Figure 23 : 京都市 オールグレード

Figure 23 : 京都市 オールグレード

今期(Q2)は訪日外国人が激増する中で外国人専門の旅行会社の新設のほか、製薬会社、保険会社の立地改善や拡張を目的とする移転などもみられた。一方で、拠点の分散していた大手電機メーカーの集約による退去、証券会社の縮小といった動きがみられた。テナントの流出入は拮抗していたが、オーナーが自社使用していた床が賃貸床として募集に出されたため空室率は上昇し、対前期比+0.2ポイントの4.6%となった。

退去や縮小といった需要の減退の動きがみられたものの、空室の品薄感がある状況は続いている。しかし、マーケットでは変調の兆しもみられる。2014年は期を追う毎に空室率が低下して移転の受け皿が不足する中で、テナントからは移転先を二次空室に期待するといった積極的な声が多く聞かれた。しかし、次第にテナントの間で移転要件を満たす物件がないことが浸透してきている。このため、需要が潜在化し、移転活動が鈍化する可能性が高まってきたと言える。

想定成約賃料は対前期比-0.2%の11,330円/坪となった。2013年年末以来、賃料は7期連続して11,300円/坪の前後100円の範囲で推移している。

他の都市に比べて賃料の振れ幅が小さくまとまる傾向のある京都では、賃料水準の高いビルの賃料が景況感を問わず高止まっている。そのため、需給は逼迫しているがさらなる引き上げが難しいという状況が続いている。

  空室率 対前期比 想定成約賃料 対前期比
オールグレード 4.6% +0.2pts 11,330円/坪 -0.2%

 

神戸市

空室率は6期連続低下で好調を維持

Figure 24 : 神戸市 オールグレード

Figure 24 : 神戸市 オールグレード

空室率は対前期比-0.1ポイントと小幅な低下にとどまったが、今期(Q2)も新設や館内増床がみられマーケットは好調を維持している。また、立地改善やビルグレード向上を目的とする移転も多くみられた。

業種や業態に大きな偏りはみられないが、来客型のサービス業に積極的な動きが目立つ。前期(Q1)に続いて今期も金融機関、ハウスメ-カーによる新設がみられた。こうしたサービス業は既に各社が出尽くしている印象が強いが、新たに事業所を構えるケースも多い。商圏が充実した神戸を評価する企業が多いことの表れと言えよう。

2015年に入りテナントの引き合いは増加しているにもかかわらず、前期と今期は新規需要がそれぞれプラス260坪、140坪にとどまった。このため、来期(Q3)以降に需要が拡大する可能性が高まっている。

大型移転の受け皿が限定されつつあるが、他の都市に比べれば十分な空室が残っている。来客型サービス業以外の業務系の大手企業による入居や、郊外からの大型移転でまとまった空室消化が進むことを期待したい。

想定成約賃料は対前期比+1.1%の10,600円/坪となった。4期連続で上昇しており、コスト意識の高いシビアなテナントが多い神戸においても、賃料は本格的な上昇局面に入りつつある。

  空室率 対前期比 想定成約賃料 対前期比
オールグレード 8.0% -0.1pts 10,600 円/坪 +1.1%

 

広島市

空室率は過去最低値更新中、初の5%割れ

Figure 25 : 広島市 オールグレード

Figure 25 : 広島市 オールグレード

空室率は2011年Q3にピークを打って以来15期連続して低下し、2013年Q3以降は2001年Q4の観測開始以来の最低値を更新し続けている。今期(Q2)は4.9%と、ついに需給の逼迫ラインとされる5%を下回った。

拡張移転と館内増床が空室率低下の主因である。移転先の選択肢が狭まっているために館内増床で床を確保するケースが増えているが、立地条件にやや難があっても築浅ビルという理由で拡張移転に踏み切る等の強い動きもみられた。

全国展開する大手企業に加えて、地場企業においても人員増による床需要が旺盛である。広島でも景況感の改善によるオフィス需要の拡大トレンドが浸透していると言えよう。

好調な市況を受けて、潜在的に建て替え計画が増えてきているものの当面の受け皿不足の解消にはつながらない。今後、館内増床が空室消化の中心となる傾向はより強まるであろう。

想定成約賃料は対前期比+1.1%の9,850円/坪となった。今期はついに空室率が需給の逼迫ラインである5%を下回ったこともあって、対前期比1%以上の大きな上昇を示した。前期(Q1)までは、賃料が本格的に上昇する可能性があるという見方にとどめていたが、今期からいよいよ本格的な上昇局面に入ったと言っていいだろう。

  空室率 対前期比 想定成約賃料 対前期比
オールグレード 4.9% -0.2pts 9,850円/坪 +1.1%

 

高松市

需要拡大に薄日、新設需要で空室率低下

Figure 26 : 高松市 オールグレード

Figure 26 : 高松市 オールグレード

今期(Q2)は複数の新設と拡張移転がみられ、空室率は対前期比0.9ポイント低下して10.9%となった。2014年Q3以降、11%を挟んだ一進一退の動きが続いている。他の地方都市の空室率が軒並み低下していることと比較すると、高松のオフィス市場はやや遅行している感が否めない。

しかし、今期のテナントの動きをみると、わずかながら需要拡大に薄日が差してきた。テナントの使用面積は20坪程度の小規模が中心であるものの、外資系のオフィスサービス会社の進出や金融サービス会社等、これまで高松に進出していなかった業態の企業の新設が相次いだ。高松で業容拡大を目指す企業が出てきたことは好材料として注目される。

2009年Q3以降、新規供給がないために統合や拡張を伴うような移転や郊外からの大型移転はみられない。今後もこうした大型移転は期待できないが、一方で撤退や減床もほとんどなく、今期みられたような新設需要増加の動きが続くだろう。空室率が持続的に低下する可能性も高まってきた。

想定成約賃料は対前期比-0.9%の8,600円/坪となった。3期連続のマイナスであるが、賃料は2010年に9,000円を下回って以来、8,700円前後のレンジにとどまっている。

空室の滞留期間が長期化する一部のビルでは、依然として賃料設定を下方修正するケースがみられる。こうした動きが高松全体の賃料上昇を阻む要因となっており、賃料は引き続き底ばいが続く見通しだ。

  空室率 対前期比 想定成約賃料 対前期比
オールグレード 10.9% -0.9pts 8,600円/坪 -0.9%

 

福岡市

空室率は観測以来の最低値を更新、3%台に突入

Figure 27 : 福岡市 オールグレード

Figure 27 : 福岡市 オールグレード

空室率は前期(Q1)に7年半ぶりに5%を下回り、マーケットの好調さを印象付けた。マーケットの勢いはさらに増しており、今期(Q2)は2001年Q1の観測開始以来最低水準であった2007年Q3の4.7%を大きく下回る3.6%まで低下した。

今期は新設や拡張移転、館内増床といった企業の旺盛な床需要が一気に顕在化した。新設して間もないコールセンターが業容拡大のために第二センターをさらに新設する動きや、拡張移転した企業が移転元を関連会社の入居のために確保するといった動きは、マーケットの勢いをそのまま反映しているといえよう。

さらに今期の空室消化は需要の純増によるものが大半を占めており、今後の二次空室の発生懸念がほとんどない。上昇要因は見当たらず空室率は今後も低下する見通しだ。

想定成約賃料は対前期比+1.5%の10,710円/坪となった。2期連続して1%を超える上昇を示し、賃料上昇が本格化している。これまで市場競争力の高い上位ビルが全体の賃料上昇を牽引していたが、今期は平均的な競争力のビルもおしなべて上昇した。

こうしたリーシングが好調な状況を受けて、2016年春に竣工予定のランドマークビルでは、市内の最高賃料を大きく上回る好条件で成約に至る可能性が出てきており、全体の賃料上昇に弾みをつけそうだ。

  空室率 対前期比 想定成約賃料 対前期比
オールグレード 3.6% -1.1pts 10,710円/坪 +1.5%

 

空室率・想定成約賃料

オールグレード

空室率 2014Q2 2014Q3 2014Q4 2015Q1 2015Q2
京都 5.5% 4.6% 4.4% 4.4% 4.6%
神戸 9.4% 8.4% 8.2% 8.1% 8.0%
広島 6.4% 6.0% 5.6% 5.1% 4.9%
高松 12.6% 11.1% 10.8% 11.8% 10.9%
福岡 6.3% 5.8% 5.1% 4.7% 3.6%
想定成約賃料 2014Q2 2014Q3 2014Q4 2015Q1 2015Q2
京都 11,310円/坪 11,340円/坪 11,290円/坪 11,350円/坪 11,330円/坪
神戸 10,310円/坪 10,380円/坪 10,470円/坪 10,480円/坪 10,600円/坪
広島 9,670円/坪 9,690円/坪 9,720円/坪 9,740円/坪 9,850円/坪
高松 8,640円/坪 8,720円/坪 8,710円/坪 8,680円/坪 8,600円/坪
福岡 10,200円/坪 10,280円/坪 10,350円/坪 10,550円/坪 10,710円/坪

 

各グレード定義

  グレードA グレードA
マイナス
グレードB オールグレード
立地 東京:
主要5区中心*

大阪、名古屋:
主要区内

* 主要5区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
東京23区内 東京23区内 大阪市内
名古屋市内
当社が独自に設定した
全国13都市のオフィスエリア内
規模 貸室総面積 
6,500坪以上

延床面積 
10,000坪以上

基準階面積 
500**坪以上

**大阪、名古屋は350坪以上
貸室総面積 
4,500坪以上

延床面積 
7,000坪以上

基準階面積
250坪以上

(グレードAを除く)

延床面積
2,000~7,000坪未満

基準階面積 
200坪以上

延床面積 
2,000坪以上

(グレードAを除く)

延床面積
1,000坪以上

築年数 築年数11年未満 新耐震基準に準拠したビル

調査概要

調査対象 当社が独自に設定した全国13都市のオフィスエリア内にある原則として延
床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した賃貸オフィスビル
調査時点
  • 四半期
    空室率:(1)3月末 (2)6月末 (3)9月末 (4)12月末 時 点集計
    想定成約賃料:(1)3月末 (2)6月末 (3)9月末 (4) 12月末  時点集計
  • 年間
    空室率:各年12月時点 
空室率 空室は集計時点で即入居可能であるものを対象
想定成約賃料 対象ビルのサンプル調査に基づく想定成約賃料
(共益費を含む、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)
新規供給面積 各期間内に竣工したビルの賃貸面積
新規需要面積 各期の稼働床面積(テナント使用面積)の前期差
グレードA対象ビル
(2015年6月期)
東京:77棟、大阪:26棟、名古屋:7棟

 

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