既存ビルを中心に空室消化が進み、東京グレードAの空室率は2年ぶりに低下
全国主要都市の賃貸オフィスビル市場動向をまとめた四半期レポート。
2022年第1四半期の空室率・平均募集賃料・需給面積を解説を交えて掲載。
GDP成長率 Q1 | 日銀短観DI Q1(全規模・全産業) | 東京グレードA賃料 Q1 | 東京グレードA空室率 Q1 |
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![]() +1.6% 予想値※ 前年同期比 |
![]() 0pts 前期比-2pts |
![]() -0.8% 前期比 |
![]() -0.5pts 前期比 |
※ 出所:日本経済研究センター
- 東京:需要は一部で復調の兆し
今期(Q1)のオールグレード空室率は対前期比+0.1ポイントの4.0%。複数の新築ビルが空室を残して竣工した一方、既存ビルでは拡張移転や館内増床で空室消化が進み、グレードAの空室率は約2年ぶりに低下。賃料はオールグレードで対前期比0.8%の下落。グレードが高いほど需要獲得のための賃料調整が進んだが、下げ止まったビルも一部で見られた。 - 大阪:大型ビルの供給が本格化
今期のオールグレード空室率は対前期比+0.8ポイントの3.7%。賃料が割安な既存ビルを中心に空室が消化された一方、複数の新築ビルが空室を残して竣工した。今期の供給量は計4万坪と、過去年間平均の約2年分に相当する。オールグレード賃料は対前期比0.2%の下落。高額賃料を負担できるテナントは少なく、グレードが高いビルほど賃料調整が進んだ。 - 名古屋:オールグレードの空室率上昇は一服
今期のオールグレード空室率は対前期比横ばいの4.6%。2020年Q1以降続いていた空室率の上昇は一服した。拡張移転や建て替えに伴う移転などでまとまった空室が複数消化された一方、新築ビルが空室を残して竣工した。オールグレード賃料は対前期比0.1%の下落。前期に続き、まとまった空室を抱えるビルを中心に募集賃料を引き下げる動きが見られた。 - 地方都市:企業のオフィス環境改善の意欲は強い
今期のオールグレード空室率は前期に比べ10都市中、6都市で低下、3都市で上昇、1都市で横ばい。新築ビルが空室を残して竣工した一方、オフィスの環境改善を目的とした移転で空室が消化される事例が散見された。賃料は前期に比べ10都市中、7都市で下落、3都市で上昇。空室や大型解約が少ない都市では、一部のビルで賃料を引き上げる動きが見られた。