広島:空室率は横ばいで推移。大型テナントに解約・返室の動き。
注目される今後の大型再開発
CBREの調査による、2021年9月期の広島市内中心部の空室率は3.1%で、前期(同年6月期)から横ばいであった。一部の業種で、拠点集約や面積見直しなどが見られたものの、業績好調な業種、マンパワーを必要とする業種などで、拡張や環境改善移転が見られ たため、空室率に大きな変化がなかったと思われる。
しかし、今まで現状維持であった、大型面積を使用する企業にも、新しいワークスタイルに向けた移転・改装に伴う解約や、一部返室の動きが見られるようになっている。2022年には、JR広島駅方面で新築ビルの供給も控えていることから、今後は、空室率に影響を及ぼす恐れがある。
市内中心部では、JR広島駅周辺も含め、様々な再開発計画が発表されている。その中の「市営基町駐車場一帯の再開発事業」の高層ビル完成イメージ等、概要が開示された。2023年度の着工、27年度の完成を目指し、高層ビルは地上31階、高級ホテルやオフィス、広島商工会議所や店舗などが入居する。観光・ビジネスの拠点として注目の物件である。
岡山:空室を抱え竣工した新築ビルの影響で、空室率は大幅に上昇。
新規・継続賃料は変動なし
2021年9月期の岡山市の空室率は、前期(同年6月期)から大幅に上昇した。市役所筋に竣工した「杜の街グレースオフィス」が、一部空室を抱えたままオープンしたことが、空室率に大きく影響した。商業棟などが竣工する、来夏の街開きに期待したい。当該ビルを除く市況は、ほぼ横ばいであった。撤退・減床は散見されるが、岡山駅に近い物件ほど、次テナントが決定している。
賃料については、新規募集賃料は変わらないが、若干のアローワンスが可能なビルが増えている。継続賃料は、大規模都市と比べ安価な契約が多いためか、値下げ交渉は聞こえてこない。
最近は、1970~80年代竣工のビルが、新規契約を定期借家に切り替え始めている。おおよそ10年のうちに、建て替えを視野に入れてのことだと考えられる。また、9月の市長選で、コンパクトシティを掲げた現職が再選した。中心市街地の活性化に、オフィスビルは欠かせない。岡山は、中四国のハブでもあるため、バスやLRT再考等、交通インフラの整備にも期待したい。
広島支店 辻﨑 寛人 / 越智 昭博
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