空室率は再び1%を下回る。 空室不足で移転の動きはやや鈍化。
中規模ビルの賃料が上昇傾向
シービーアールイー(株)の調査によると、2018年9月期の札幌市の空室率は、前期(同年6月期)から0.2ポイント低下し、0.9%となった。「さっぽろ創世スクエア」の竣工によって上昇した空室率は、同ビルの床がフロア分割によって消化されたことや、中心部の他の物件でも、IT系企業の新規開設により大型空室が埋まったことで、再び低下に転じた。
100坪以上の大型ニーズは引き続き多いが、移転先が見つからず、レイアウト変更等で増員に対応するなど、テナントの動きは少し落ち着き始めている。2019年に供給予定の新築ビル2棟についても、引き続き問い合わせや引き合いはあるが、一方でテナントサイドが既存ビルと比較するなど、ビル決定までの期間が少し長くなってきたように感じられる。
しかしながら、賃料水準の推移は、大型ビルでは上げ止まりの様相を見せてはいるものの、それを追うように中規模ビルの賃料が徐々に上がり始めている。空室が少ない状況に変わりはなく、そのため、マーケットは依然としてオーナー優位と言える。テナントサイドには、これまで同様、早急な意思決定が求められるだろう。
オフィスビルへの地震の影響
北海道東部胆振地震の影響については、札幌市中心部のビルでも、全道停電の影響は受けたが、非常用電力を備えるビルやテナントは、数は少ないながらも稼働できた。旧耐震ビルが多い札幌だが、目に見える被害が少なかったためか、テナントサイドに大きな動きはなかった。しかし、今後のBCP対応やビル設備について、考えるきっかけとなったことは確かである。オーナーサイドは、今後重要視されるであろう、非常用発電機や蓄電池を設置するなどして、ビルの付加価値を高める新たな一手を打ち出してもらいたい。
札幌以外の道内主要エリアの動きを見ると、2017年に釧路で新築ビルが竣工した。2000年以降、道内地方都市では北見に続いて2棟目であるが、地区内移転、新規開設どちらのニーズも取り込み、竣工後1年で満室となった。動きがないと言われていた道内地方都市だが、新築ビルの竣工をきっかけに、需要が活発化したものと思われる。次は、帯広に新築ビルが竣工する予定で、今後2~3年の動きに期待したい。
札幌支店 二見 亮太
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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札幌中心部 | 14,500円~17,000円/坪 | 新築ビルが竣工したが、空室がない状況が続いている。テナントニーズは旺盛であるが、ニーズの潜在化が懸念される。 | |
地下鉄西11丁目 | 10,000円~11,500円/坪 | 札幌中心部、創成川東と比べると空室はまだある。 | |
創成川東 | 11,500円~12,500円/坪 | 新幹線のホーム位置決定や創世1.1.1区エリアの再開発動向もあり、注目され始めている。 | |
札幌駅北口 | 13,500円~16,500円/坪 | 依然として空室が少ないエリアである。 | |
琴似 | 7,000円~8,000円/坪 | エリア全体として新規需要は少なく、目立った動きは見られなかった。 | |
白石 | 7,500円~8,500円/坪 | エリア全体として新規需要は少なく、目立った動きは見られなかった。 | |
倉庫・配送センター 既存 |
2,500円~3,000円/坪 | 全体的な空室不足は継続している。新築物件への移転や拠点集約に伴う二次空室の募集には、テナントの引き合いが多く見られる。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。