空室率は4期ぶりに上昇。賃貸条件緩和により成約賃料が下落。
既存と新築の賃料格差拡大
シービーアールイー(株)の調査によると、福岡における2022年6月期の空室率は、対前期(同年3月期)比0.2ポイント上昇の2.8%。 2021年6月期から4期ぶりに空室率が上昇した。コールセンター、システム開発関連業などの新規開設、拡張移転といった前向きな増床の話もある一方、空室予定となっていた募集物件のテナントが、未決定のまま即入居可能となったり、募集物件が増加し、テナント需要を上回ったりしたことが、空室率上昇の要因となっている。
想定成約賃料(共益費込)は、対前期比0.4%(70円/坪)低下の16,110円/坪となった。募集賃料は、2020年の緊急事態宣言以前と、ほぼ変わらない水準で推移している。竣工してからも、稼働率が低く、リーシングに苦戦している物件や、募集期間が長期化している物件を中心に、フリーレントを含む賃貸条件の緩和が進んでいることで、成約賃料の下落につながっている。これまでに供給された博多区・中央区の大型新築ビルは、竣工順に需要が集まり成約に至っていたが、成約賃料は維持されていることから、下落基調の既存物件と新築物件の価格差が、広がり始めてきた印象がある。
大型新築ビルがほぼ満室竣工
「博多コネクティッド」は、博多駅を中心とした半径500メートルのエリアで、先進的なビルへの建て替え、交通基盤の拡充、歩行者ネットワークの拡大による都市機能の向上を図り、賑わいを周辺に広げていく、まちづくり施策である。その地域交流や賑わい創出に寄与する開発計画として、博多コネクティッドボーナス認定第1号物件の「博多イーストテラス」が、ほぼ満室に近い状態で8月に竣工。ワンフロア専有面積は約680坪と、博多駅界隈では最大級に準ずる広さを誇る。これまでの新築オフィススペックを当然備えた上で、博多エリアで初めてとなるセキュリティーゲートを導入。さらに、有事の際に、共用部と専有部に72時間供給可能な非常用発電機を完備している。
リモートワークの導入から、働く場所と時間も変化し、新しい働き方が定着し始めた。その上で、有能な人材の獲得や従業員の満足度向上のため、ハイスペックオフ ィスへの新設・移転が、増加していくことになるだろう。今後の市場動向に注目していきたい。
福岡支店 江頭 秀人
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