空室率はやや上昇するも、 オフィス移転需要は依然旺盛。
受け皿不足の続く市場
シービーアールイー(株)の調査による、広島市内中心部の2018年6月期の空室率は3.0%で、対前期比(同年3月期比)0.1ポイントの上昇となった。やや上昇したものの、依然、低水準の空室率と言える。
昨年末に竣工した「スタートラム広島」による二次空室の影響が注目されていたが、好立地やグレード感のある優良物件については、新規開設や増床移転等、堅調な需要を取り込んでいる。そのことが、今期の空室率の上昇を抑制した要因と言えるだろう。
市内中心部、広島駅周辺とも、優良物件については引き続き空室が枯渇気味で、旺盛なテナント需要に対しての受け皿が不足している。移転先を確保するため、複数のテナントが一空室で競合するケースも多く、迅速な意思決定が求められる傾向も強まっている。また、低水準な空室率による賃料上昇を受け、これまで需要が少なかった立地の物件を候補として検討する企業も増えており、好調なオフィスマーケットであることを反映している。
2019年には、「(仮称)二葉の里プロジェクト」「新広島ビルディング」の竣工を控えている。新築ビルによる新規供給や、二次空室の発生によるマーケットのさらなる活性化が期待される。
岡山では小型ニーズに動き
岡山の空室率は、今期やや上昇した。駅前の長期修繕をしていたビルで大型空室が出たためであるが、当該空室にもすでに申し込みがあり、今期中にテナントが決定するものと思われる。
テナント需要では、中小企業の新規開設や地元企業の立地改善移転等、小型の案件に動きが見られた。中・大型の移転需要も増えているが、移転しようにも受け皿がない状況のため、潜在化・長期化する傾向は変わらない。中小企業が岡山に新規開設をする一方で、大手企業が、岡山にある小規模の営業所を、広島や大阪に統合する動きが見られた。これは、大手企業が、大都市に人材を集約する傾向の表れと考えられる。
移転時における新規賃料は、オーナーサイドの希望賃料で決定することが多く、条件交渉の余地は少ない。また、オーナーサイドは数少ない空室に対し、テナントを吟味し、優良企業・有名企業を優先して選択する傾向にある。継続賃料は、引き続き各ビルで交渉が進められている。
広島支店 鈴木 歓 越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 9,000円~12,000円/坪 | 依然として県外企業を中心とした新規開設の需要が多く、面積の大小にかかわらず、受け皿不足が続いている。 | |
広島駅南 | 9,500円~12,500円/坪 | 築浅物件については、順調に空室を消化している。 | |
八丁堀・紙屋町 | 10,000円~14,000円/坪 | 築浅・大型物件以外についてもテナント需要が堅調で、賃料は上昇傾向にある。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 中心部他エリアの空室率が低水準で推移していることから、大手町エリアを選択肢として検討する企業が増加してきている。 | |
岡山桃太郎大通り | 8,500円~12,000円/坪 | 今期はほぼ動きがなく、解約予告も見られなかった。対象エリア外だが近隣で大型の空室が出ており、今後の動向が注目される。 | |
岡山市役所筋 | 9,000円~13,000円/坪 | 改修工事終了の大型空室がマーケットに出て、空室率はやや上昇した。駅近、スペック高の物件に人気が集中している。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | 移転先の確保が難しいため、新たな空室が出てこない状況。賃料の割高感もあり、物件探しは難しい環境にある。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,100円~4,000円/坪 | 倉庫および人手不足の影響で、物流会社保有倉庫への移転や業務委託が散見されるようになっている。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500円~3,500円/坪 | 空室が慢性的に不足しており、今後の新規供給予定もない状況。需要については、前期同様落ち着いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。