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株式会社アルプス物流|事業拠点構築ケーススタディ

株式会社アルプス物流

電子部品という高品質かつ繊細な商材分野に特化し、専門性を高めたシステムの構築で成長を遂げた「アルプス物流」。その首都圏ネットワークの要だったセンターの老朽化に伴い、新たな拠点を構築した。蓄積してきたノウハウを結集して開発した「加須営業所」の役割と、今後の企業戦略について取材した。

国内物流事業の拡大とネットワークの合理化を目的に、
周辺に分散する倉庫を集約し、ターミナル拠点を再構築。
首都圏のゲートウェイを担う物流拠点開発プロジェクト。

株式会社アルプス物流

電子部品に特化した「最適物流」をグローバルに展開するアルプス物流

自動車や電子機器などに用いられる電子部品を主体に、グローバルに物流事業を展開するアルプス物流。1964年の設立当初は、親会社であるアルプス電気の製品の輸送が主体だったが、3PL事業の強化とともに次第に他のメーカーにも業務を拡大。今ではグループ企業以外の取引が70%を占 めるまでに成長している。

同社のビジネスは、輸送、倉庫、輸出入、包装などのパッケージデザインという4つの事業部門で成り立っている。その中で特徴的なのが、基本のビジネスモデルとして、共同保管機能と共同配送機能を組み合わせた「ストック&デリバリー・サービス」である。部品メーカー各社から集荷した電子部品を、届け先ユーザー企業の近くに設けた物流拠点に共同保管。ユーザー企業が必要とするロットに分割したうえで、必要なときに必要なだけまとめて、専用便に近い形で配送する仕組みだ。

部品メーカーは、取引先ごとにトラックを手配する必要がない。ユーザーであるメーカーも、工場に在庫を保管する必要がなく、しかも荷受けが一度で済むというメリットがあるため作業の効率化が図られる。また、トラックの到着時刻もユーザーにわかるようにしているので、工場の業務フローに合致したタイミングで提供できる。サービスの利用料は使った分だけの従量制方式だ。「電子部品の供給元と、ユーザーであるメーカー、双方にとってのメリットを考えて、最適物流として始めたのがこのシステムです」。そう語るのは同社の事業本部国内事業統括部長の岸嶋宏治氏である。

現在、国内の輸送ネットワークにおける集配先は約1,500ヶ所に上り、貨物量は250万箱/月。1日当たり、おおむね10万箱の通箱が動いている計算だ。このシステムを実現するために、現在では国内に39の物流拠点を確保。また、海外には電子部品メーカーが数多く進出する中国を中心に、米国や欧州を合わせた53の拠点を有している。これにより国内外の21社の連結対象子会社を含めた2019年3月期の売上高は1049億円であり、営業利益は47.2億円という規模を誇っているのだ。

首都圏のターミナル拠点が老朽化 新施設の開発が急務に

株式会社アルプス物流

同社の親会社を含め、電子部品メーカーの多くは東北地方に工場がある。そのため、東北各地から集荷した製品は、郡山の営業所に集められたうえで、東北自動車道を利用して首都圏へ、あるいは中央自動車道を経由して中京圏や関西圏へと輸送される。首都圏に輸送されるのは、主に成田空港および東京港、横浜港を利用する輸出用貨物が多い。一方、中京圏へは主に自動車部品が、関西圏には大手電機メーカーや産業用機械メーカー向けの製品が多い。

首都圏には南と北にゲートウェイとなるターミナル拠点がある。南は本社が所在する横浜であり、北は、東北自動車道羽生ICから約2.2kmに位置していた埼玉県の羽生営業所がその役割を担ってきた。しかし、築40年を経過したこの営業所は、時間の経過とともに中核拠点の機能が求められて拡大したという経緯がある。そのため、老朽化とともに手狭になり、外部の倉庫を賃借しながら凌いできたというのが実情である。「管理コストが増大するうえに、広いトラックターミナルもなく、待機時間が長くなるなど弊害が目立ってきました。面積も約2,000坪しかなかったため、羽生営業所をリニューアルするより、近くに広い場所を確保し新たなターミナル拠点を構築した方が合理的だと判断し、CBREに相談したのです」と、同社常務取締役事業本部長、吹山浩司氏は、当時を振り返ってこう語る。

こうして2014年、北のゲートウェイとなる新たな拠点開発プロジェクトが動き出した。まず立地でこだわったのが、圏央道沿いであること。圏央道ができたことで、首都圏の拠点体制は大きく変わったと言われる。混雑する都心部に入らなくても各高速道路に接続できるからだ。同社にとっては首都圏の横浜ターミナルはもちろん、保管集配拠点である大井、成田、松戸といった営業所に向かうのに利便性が高い。また、物流企業である 以上、高速道路のICから近いこと、さらにこれまでのノウハウを持つ羽生営業所のマンパワーを継続的に活用できること、将来的な拡張も視野に入れ十分な面積が確保できることを条件に、候補地探しが進められた。

こうした中、2016年にいくつかの候補から選ばれたのが、埼玉県加須市の用地だった。ここは、もともと農地だったところを加須市が工業・流通団地としようとしていたが、リーマン・ショックの影響で開発中断を余儀なくされていた場所。進出を希望する企業があるならば、市としても積極的に開発しようという話だった。当初の用地開発計画では2万坪だった面積も1万坪に変更されたことで、より取得しやすくなったという。「当初の予定では、5~6,000坪の土地に4、5階の倉庫を1棟建てるという規模感でいましたが、北関東には自動車メーカーも数多く所在していますし、取引先にはさらに物流センターを強化したいというニーズもありました。既存拠点である羽生にも近くマンパワーも移管できますし、近隣には住宅地があり新規採用もしやすい。さらに、加須市の支援も受けられることから、規模はかなり大きいのですが1万坪の敷地に将来計3棟の施設を建設する計画を踏まえ用地取得を決定しました」(吹山常務)。

2016年には購入を決定していたが、農地転用による工業団地化という計画に準備期間を要し、実際に土地購入に至ったのは2017年6月のことだった。

電子部品を扱う専門性だからこそ重要な独自仕様の自社倉庫

株式会社アルプス物流

こうしてようやく、新たな拠点開発に乗り出すことになったが、同社が自社所有施設にこだわるには、それなりの訳がある。同社が扱う電子部品の保管には、いくつもの重要な設備があり、汎用性が高いとされるマルチテナント型物流施設のそれとは大きく異なるからだ。

その一つが空調設備。精密な電子部品なため温度だけでなく、製品によっては湿度管理も必要になる。加えて、1階はトラックバースを伴う輸送ターミナルや大型貨物保管庫なので高さが必要なものの、2階から上層では中量棚が一般的なので、天井高は3mもあれば足りる。マルチテナント施設のように5.5~7mもあっては、上部のスペースが無駄なだけでなく余分な空調コストが掛かってしまう。また、箱を開けて商品を必要なロットに分けるには静電気への対策も必要になる。高額な電子部品が何百万個も保管されているので、セキュリティのための入退庫管理も重要だ。さらに各種の検査などを行うためのスペースに加え、防塵対策も欠かせない。羽生営業所周辺で賃貸施設を確保していた際は、これらの設備を後付けすることになり余分なコストが嵩んでいた。つまり自社でオリジナルの仕様の施設を作るほうが合理的だし、だからこそ、顧客からの信頼を得ることにもつながるのだ。「当社では、拠点を、物流施設というよりユーザー様の製造ラインの最後の工程だと考えています。大切な商品を預かり最後の工程を施すのですから、適した環境を整えていることが付加価値であり、安心して任せてもらえるファクターとなっているのです」(吹山常務)。

開発を担当する建設業者の選定にも注意を払った。単に建設費が安いだけでなく、同じ機能をいかに低コストにするか、あるいは同じコストでいかに機能的にするかというVA提案の提案力。そして今後、数十年活用していく施設だけに、メンテナンスを含めたサポート体制を重視した。最終的には鹿島建設に決まったが、最上階は柱を減らして保管方法に柔軟性を持たせたり、空調コスト削減のためのエアコンの設置場所や効率的なLED照明の配置場所など、ランニングコスト削減のための提案も数多く受けたという。

ここで改めて、2018年5月に営業を開始した加須営業所の施設の詳細を見てみよう。東北自動車道加須ICから5分、敷地面積約10,600坪の土地に建設されたRC構造、地上5階建て延面積約5,000坪の物流施設。主要高速道路を利用して国内生産品の国内発送拠点や輸出貨物の輸送モード別振り分け拠点、輸入貨物の国内配送拠点として活用される。

1階のトラックターミナルには、温度管理に欠かせない密閉型の入出庫口装置である、ドックシェルター18台を設置しており、顧客の貨物を温・湿度の急激な変化や風雨、塵埃から守っている。また、全館に空調設備を完備したほか、一部には加湿器や静電気防止の塗り床を施し、温湿度管理や静電気対策を行うなど、電子部品の取り扱いに適した庫内環境を備えている。また、貨物の出し入れに適した高床式が作業効率を高めるほか、LED照明完備の環境対応、監視カメラ及び指紋認証機器による万全のセキュリティ管理体制を整えている。

さらにBCP対策としては、20m下の岩盤地層に施設の杭基礎を打ち込み強固な耐震構造を施しているうえに、非常時においても入集荷情報のやり取りなど最低限の作業ができるように、太陽光発電システムや蓄電池による電源対策を採用している。棚の設置についても、これまで蓄積したノウハウに基づく地震対策等の細かい自社製マニュアルを適応した。

現在、この施設では約120名が働いているが、その約8割が女性だ。人材確保を考慮しトイレや更衣室、食堂の内装にこだわったほか、個人用ロッカーの設置、夜勤者用におにぎりやパンの自販機も設置。もちろん、自動車通勤者用の駐車場も確保している。 「当社の国内輸送ネットワークの要として、また質の高い保管環境を実現した倉庫として、お客様によりよいサービスを提供していく所存です」(岸嶋統括部長)。

国内・海外とも伸びしろは十分自動倉庫化を視野に発展を目指す

株式会社アルプス物流

電子部品市場は、今後ますます拡大が予想される。国内を見れば自動車のEV化や自動運転化、また各種ロボット産業機器の生産が本格化となれば、搭載される電子部品が増えることは確実だからだ。と同時に、同社は海外に対しても積極的に目を向けているという。現在までに、中国ではすでにネットワークを構築しているが、今後はASEAN諸国、北中米、東欧にも目を向けるという。

ASEANでは、過去にシンガポールやマレーシア、5~6年前からはタイを中心にネットワークを構築し、2019年7月には、自動車やエアコンの一大製造拠点となったタイに大型物流施設を開業させた。他にも、合理的なロジスティクス戦略の確立が難しそうなインドにも進出を計画。自動車産業が活発な北米やメキシコ、さらには手薄になっていた欧州など、海外のターゲットに絞って展開していくという。

「電子部品メーカーの海外進出に合わせて、当社も積極的に海外ネットワークを強化していく必要があります。また国内物流における最大の課題は人手不足。人口減少に対応するには、自動倉庫化は不可欠でしょう。当社のサービスは、電子部品のパッケージを開封して分割したり、その後の加工や検査など、自働化しづらい工程が多いのですが、自社開発で自働化のマテハンやシステムを開発することまで考えています」(吹山常務)。

同社のような専門性の高い、言い換えれば自働化しづらい企業による自動倉庫化の実現が、市場や物流業界にもたらす恩恵は計り知れない。今後の自動倉庫の進展にも、大いに期待したい。

株式会社アルプス物流
株式会社アルプス物流

プロジェクト概要

企業名 株式会社アルプス物流
施設 加須営業所
所在地 埼玉県加須市北大桑110 東北自動車道加須IC車5分
開設 2018年5月1日
敷地面積 約10,600坪
構造・規模 RC構造、地上5階建
延床面積 約5,000坪
CBRE業務 農地転用による物流開発アドバイザリー、用地売買仲介

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上記内容は BZ空間誌 2019年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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