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首都圏

新規需要、2020年を上回る

今期(Q4)の首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率は対前期比0.3ポイント低下の2.3%となった。今期の新規供給は6棟17.5万坪。そのうち3棟では空室が残ったが、3棟が満床で竣工した。さらに、2021年に竣工した築浅物件でも複数のテナント決定があり、新規需要は18.8万坪に積み上がった。この結果、2021年1年間の新規需要は54万坪となり、2020年の46万坪を上回った。物流企業を始めとして、製造業、小売業、ECなど幅広い業種からの需要がみられた。2022年の新規供給は、調査開始(2004年)以来最大となる72万坪が予定されている。ただし、向こう2四半期の竣工予定物件では約半分の面積でリーシングが進んでいるため、2022年Q3時点の空室率は2.4%程度で、大きく上昇はしない見通しである。

実質賃料は4,470円/坪、対前期比横ばいとなった。賃料水準が平均より低い立地の新規竣工物件の影響があったものの、今後の供給が少ない地域では既存物件の賃料は上昇傾向が続いた。ただし、賃料の上昇ペースは鈍化しつつある。豊富な供給により、テナント企業の選択肢は増えており、竣工前の早い段階で満床となる物件は少なくなっている。

Figure 1 : 首都圏 LMT物流施設 需給バランス

Figure 1 : 首都圏LMT物流施設需給バランス

東京ベイエリア

空室率は0.5%で、前期から0.3ポイントの上昇。500坪程度の空室増加があったが、前期に続いて今期も新規供給はなく、タイトな需給状況に変わりはない。実質賃料は7,520円/坪で対前期比0.7%上昇。同じエリア内でも、駅から徒歩圏か否かで賃料に大きな差が生じるようになってきている。徒歩圏の立地では、ECのラストマイルニーズのほか、倉庫の天井高を生かしたスタジオなど多様な用途での引き合いもあり、中にはオフィス並みの募集賃料もみられる。

外環道エリア

空室率は2.4%、前期から2.1ポイントの上昇となった。今期の新規供給3棟のうち1棟は満床で竣工したが、他の2棟ではそれぞれリーシングが進展しているものの空室が残った。実質賃料は5,200円/坪、前期から0.4%の下落となった。これは、今期の新規供給3棟がいずれも賃料水準が平均を下回る地域に立地しているためである。既存物件で賃料が下落に転じた事例は今のところ見られていない。

国道16号エリア

今期の空室率は3.0%、対前期比0.2ポイント低下した。新規供給2棟のうち1棟は満床で竣工、他の1棟は延床面積約10万坪の超大型物件であるが、すでに7割程度の面積で入居テナントが固まったようだ。また、前期までに竣工した複数の物件でも空室が消化され、新規需要を押し上げた。実質賃料は4,470円/坪で、対前期比横ばい。空室や供給予定が少ない地域では賃料は上昇基調を保っているものの、今期は平均を下回る賃料水準の地域で2棟が竣工したため、結果として平均値は変動がなかった。2022年の新規供給37万坪は首都圏全体の半数以上を占めるため、物件によりリーシングの進捗に開きが出ることが予想される。

圏央道エリア

空室率は0.9%、対前期比1.2ポイントの低下。今期は1棟が満床で竣工したほか、前期に竣工した物件の空室が大きく減少した。3,000坪以上のまとまった空室のある物件はもはや1棟しかない。2022年の新規供給予定は11万坪で、2021年の半分程度に抑えられる。ただし、より周辺部や新興の立地に開発地が広がっているため、リーシング状況を注視する必要があるだろう。実質賃料は3,600円/坪、対前期比0.3%上昇となった。

近畿圏

空室率1.2%、6四半期連続の低下

近畿圏LMTの空室率は対前期比0.4ポイント低下の1.2%。低下は6四半期連続で、需給はかなり逼迫した状態になってきた。今期の新規供給物件2棟のうち1棟は満床、他の1棟も9割以上の高稼働で竣工した。それに加えて複数の築浅物件が満床となり、今期の新規需要は7.8万坪。結果として2021年の新規需要は総計30万坪、年間ベースの過去最高を記録した(調査開始2007年)。2022年の新規供給はわずか3棟と少なく、6割程度の面積がすでにテナント内定済みのようだ。物流企業を中心に堅調なニーズがみられる。

実質賃料は4,100円/坪、対前期比では横ばいとなった。既存物件の賃料は上昇基調が続いているものの、今期竣工した物件がいずれも賃料水準の低い周辺部に立地するため全体平均を押し下げた。

Figure 2 : 近畿圏 LMT物流施設 需給バランス

Figure 2 : 近畿圏 LMT物流施設 需給バランス

中部圏

製造業の動静や大量供給が市況に影響

中部圏LMTの空室率は5.1%、対前期比2.8ポイント低下した。今期竣工物件はなく、前期竣工物件を含む複数の物件で空室が消化された。中には、製造業の工場操業休止に伴って、中間部品等を一時的に保管するための短期の契約もみられた。中部圏では自社倉庫を志向する企業は多いものの、建築費の高騰や物流量の増加ペースが速いことを勘案して、賃貸物件を選択する例もある。2022年は9棟17万坪の新規供給が予定されている。これは既存ストックの4割に相当するボリュームで、物件のスペックや立地によってリーシングの進捗には濃淡が出るだろう。実質賃料は、3,590円/坪で前期から横ばいとなった。

Figure 3 : 中部圏 LMT物流施設 需給バランス

Figure 3 : 中部圏 LMT物流施設 需給バランス

福岡圏

開発意欲は依然として旺盛

福岡圏LMTの空室率は、依然として2019年Q2以来の0.0%。2022年Q2に竣工予定の物件3棟はすべて100%内定済みであり、それ以降に竣工予定の物件でもリーシングが徐々に進展している。空室不足が解消されていないため、テナント企業は竣工前のかなり早い段階から検討を始める傾向がみられる。実質賃料は今期も上昇し、対前期比+0.6%の3,250円/坪となった。デベロッパーも開発用地の取得に積極的で、湾岸のアイランドシティ地区では大型マルチテナント型物流施設(延床面積4.5万坪、竣工予定2024年)の開発計画が発表された。

Figure 4 : 福岡圏LMT物流施設需給バランス*

Figure 4 : 福岡圏LMT物流施設需給バランス*

その他の地域

広島の新規供給、高稼働で竣工。仙台、札幌で開発計画が相次ぐ

今期は広島市で大型施設が竣工。一部の空室を除いてテナントが決定したほか、既存物件でも空室が消化されるなど、企業の動きが戻りつつある。開発機運が特に高まっているのが仙台市周辺で、このエリアの大型供給は2018年以降途絶えていたが、2022年に2棟、2023年にも2棟のマルチテナント型の建設計画がある。2022年の2棟については、すでに複数のテナントが内定している。札幌市でも、来期に1棟が竣工するほか、2023年以降も開発計画が続きそうだ。首都圏では用地取得競争が激しいため、地方マーケットの開拓へ目を向けるデベロッパーが増えている。

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