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首都圏

大規模物件の竣工により空室率上昇

今期(Q3)の首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率は前期から1.1ポイント上昇の2.6%となった。空室率が2%台となるのは2019年Q3(2.4%)以来である。今期の新規供給は5棟、約18万坪で、1四半期としては調査開始(2004年)以来4番目に多い。5棟のうち3棟が延床面積3万坪以上の大規模物件で、いずれも空室を残して竣工したことが空室率上昇の主因である。とはいえ、それらも4割から8割程度のテナントが決定ないし内定し、新規需要は約13万坪となった。今期の需要は、物流企業のほか複数の小売業、製造業などがみられた。一方、今期は既存物件でまとまった面積の二次空室が発生した。今後は、大量の新規供給を控えて、物件の選別傾向が一層進むと考えられる。

実質賃料は首都圏全体では4,470円/坪、対前期比横ばいとなった。ただし、新規供給物件のうち3棟が賃料水準が低い圏央道エリアに竣工したことに起因しており、エリア別にみると外環道エリアは0.4%、国道16号エリアでは0.2%上昇した。賃料の動きにも格差が現れ始めており、上昇傾向が持続している地域もあれば、天井感がある地域もみられる。

Figure 1 : 首都圏 LMT物流施設 需給バランス

Figure 1 : 首都圏LMT物流施設需給バランス

東京ベイエリア

空室率は0.2%で、前期から0.7ポイントの低下。新規供給はなく、小規模な空室の消化が進んだ。需給が逼迫する中、中規模の開発計画が複数出てきている。駅近で利便性の高い物件は貴重で、都心特有のニーズで引き合いが出ているようだ。実質賃料は対前期比横ばいの7,470円/坪となった。

外環道エリア

今期の竣工物件はなく、また既存物件の空室にも変動がなかったため、空室率は前期から横ばいの1.3%となった。一方で、来期は3棟の竣工予定があり、活発なリーシングの動きがみられている。それらの物件が竣工する埼玉県の地域で、立地の再評価が進んでいることが賃料にも反映し、実質賃料は5,220円/坪、対前期比0.4%の上昇となった。

国道16号エリア

今期の空室率は3.2%、対前期比1.4ポイントの上昇となった。今期竣工の2棟はいずれも大規模物件で、新規供給は10万坪を超える高水準となった。内定状況は順調なペースとみられるものの、竣工時に空室が残ったことが空室率上昇の主因。また、既存物件でもまとまった面積の二次空室が発生した。今後も10万坪ないしそれ以上の新規供給が、2022年Q4まで毎四半期継続するため、物件間の競争は厳しさを増している。実質賃料は4,470円/坪、対前期比+0.2%。空室や供給予定が少ない埼玉県、神奈川県の一部地域では、引き続き賃料上昇がみられた。

圏央道エリア

空室率は2.1%、対前期比1.4ポイント上昇した。新規供給3棟のうち、1棟が空室を残して竣工したものの、2棟は満床となった。また、来期竣工物件でもテナント内定が進んでいる。新規供給は2022年Q3まで抑制されたボリュームであるが、立地によってはリーシングに時間がかかる可能性もある。実質賃料は3,590円/坪、対前期比横ばいとなった。

近畿圏

空室率はさらに低下、賃料の上昇続く

近畿圏LMTの空室率は対前期比0.1ポイント低下の1.6%となった。今期の新規供給物件4棟は、いずれも比較的早い段階から1棟借りや大口のテナントが確定していた。業種としては、首都圏と同様、物流企業のほか荷主企業が直接賃借するケースが目立つ。既存物件でも空室が消化され、結果として新規需要は9万坪を超え、前期実績を2.5万坪上回った。今後の開発計画は周辺部が中心である。しかしすでに複数の物件でテナント内定が進んでいること、ならびに2022年の新規供給は2021年の2割にとどまることを勘案すると、空室率は低い水準で推移するだろう。実質賃料は4,100円/坪、対前期比1.2%の上昇。今後の供給が少ない地域で上昇したほか、空室が約1万坪まで減少した湾岸部でも、一部の物件で賃料上昇がみられた。

Figure 2 : 近畿圏 LMT物流施設 需給バランス

Figure 2 : 近畿圏 LMT物流施設 需給バランス

中部圏

空室率は一進一退も、ニーズは増加傾向

中部圏LMTの空室率は7.9%、対前期比1.4ポイント上昇した。今期竣工した1棟が、空室を残して竣工したことが主因。一方で、昨年竣工した物件で空室消化が大きく進んだ。新興立地に竣工した物件であるが、認知度が向上した結果と考えられる。また、2022年以降の大型開発でも、テナントの動きが少しずつ具体化してきた。中心部では長期間空室がないため、賃料はじわじわと上昇しているものの、賃料水準の低い郊外の物件が加わったことにより、実質賃料は前期から変動なく、3,590円/坪となった。

Figure 3 : 中部圏 LMT物流施設 需給バランス

Figure 3 : 中部圏 LMT物流施設 需給バランス

福岡圏

空室不足で賃料の上昇続く

福岡圏LMTの空室率は、2019年Q2以来の0.0%を維持した。今期を含めて2022年Q1まで新規供給はなく、2022年Q2に竣工予定の物件3棟はすべてテナント内定済みであるため、空室不足感は強まっている。そのため、デベロッパーの動きは非常に積極的で、2023年以降の開発計画が複数具体化してきた。実質賃料は今期も上昇し、対前期比+0.9%の3,230円/坪となった。

Figure 4 : 福岡圏LMT物流施設需給バランス*

Figure 4 : 福岡圏LMT物流施設需給バランス*

その他の地域

札幌、仙台周辺で開発計画が増加

札幌市、仙台市の周辺や東北地方各地で、大型の賃貸施設の開発計画が複数浮上した。現地に拠点がある企業を中心に拡張ニーズが高まっているにもかかわらず、これらの地域でまとまった空室がないことが背景。生産拠点や商品供給拠点を全国に分散する動きがある中で、地方で在庫量が増える傾向がみられる。賃料水準が以前と比べて上昇していることから、投資環境が整ってきたことも後押しになり、デベロッパーが地方都市に目を向けるようになってきた。広島市では大型施設1棟が竣工、すでに約半分の面積でテナントが決定した。

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