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首都圏

テナントの動きは一服

今期(Q1)、首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率は1.1%、前期から0.6ポイントの上昇となった。空室率が1%台になるのは、2019年Q4の1.1%以来。今期の新規供給は5棟。そのうち2棟は満室稼働したが、テナントが再募集になった物件もあり、空室が残った。今期は物流企業が需要を牽引したが、取扱荷物をみるとEC企業や、オムニチャネル化を図る企業の拡張需要もみられる。2020年は、コロナ禍で顕在化したマスクや日用品の「特需」もあって物流スペースを確保するための競争が激化したが、テナントの動きは一服しつつある。向こう2四半期の間に供給が予定されている物件のうち、6割程度の面積はすでに内定済みとみられる。全体では順調なリーシングペースであるが、立地やスペックによってリーシングの進捗状況に開きが出てきた。

実質賃料は首都圏全体では4,460円/坪と対前期比横ばい。既存物件の賃料はいずれのエリアでも上昇基調が続いた。しかし、今期の竣工物件5棟中4棟が賃料水準の低い圏央道エリアで竣工したため、首都圏全体の平均値は前期比横ばいとなった。

Figure 1 : 首都圏 LMT物流施設 需給バランス

Figure 1 : 首都圏LMT物流施設需給バランス

東京ベイエリア

新規供給は無かったが既存物件で空室が発生し、空室率は前期0.0%に対し、今期は0.9%となった。しかし需給バランスが逼迫していることに変わりなく、実質賃料は対前期比0.8%上昇の7,440円/坪。中小型の新築計画が複数あり、都心特有のニーズの受け皿として注目されている。

外環道エリア

空室率は前期の0.3%から1.6%に上昇。今期竣工した物件で空室が残ったことが主な要因。実質賃料は5,180円/坪、対前期比横ばいとなった。2021年の供給は、今期の竣工物件を含めて5棟中4棟が埼玉県内に集中する。中でも、2014年以来途絶えていた三郷IC周辺での供給が3棟ある。これら新規供給の影響で同地域の利便性が見直されているため、賃料は上昇傾向である。

国道16号エリア

今期は供給がなく、空室率は前期に続き0.0%を記録した。ただし、Q2以降の竣工予定物件では、満床となった物件はまだ少ない。前期時点で内定済みと推定されていたスペースが再募集となったほか、既存物件で転貸区画が複数あるなど、今後は空室率が上昇する可能性がある。実質賃料は4,430円/坪、対前期比+0.2%とわずかな上昇にとどまった。今後も供給がない地域や、相対的に割安感のある物件では賃料は上昇したが、それ以外では上昇に歯止めが掛かっている。

圏央道エリア

空室率は前期の0.9%から3.1%に上昇。今期の竣工物件4棟のうち2棟が空室を残して竣工したことが要因。しかし、向こう2四半期の間に竣工する予定の5物件のうち、4棟がすでにテナント内定済みとみられる。このエリアでも再募集となったスペースが出たものの、需給バランスが大きく崩れることにはならないだろう。実質賃料は対前期比0.8%上昇し、3,580円/坪となった。

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近畿圏

賃料上昇に警戒感も

近畿圏LMTの空室率は1.9%と、対前期比1.8ポイント低下した。近畿圏で空室率が2%を下回るのは、2016年Q2(1.9%)以来。今期竣工した2棟のうち1棟が満床稼働したほか、湾岸部で既存物件の空室消化が進んだ。向こう2四半期の供給予定物件は、複数の物件で一棟借りが内定しており、空室率は低い状態が続く見通しである。しかし、コロナ禍の影響で業績が低迷している企業もあり、既存物件で空室や転貸区画の募集が出てきている。内陸部といえどもリーシングの進捗ペースは落ちてきており、今後は物件の競争力見合いで稼働率に格差が出てくるだろう。実質賃料は、対前期比横ばいの4,020円/坪。過去2年間で13%上昇していることや業績見通しへの不安から、テナントは新規の契約に慎重になっており、賃料上昇は抑えられている。

 

Figure 2 : 近畿圏 LMT物流施設 需給バランス

Figure 2 : 近畿圏 LMT物流施設 需給バランス

中部圏

新規供給を控えて誘致活動は活発に

中部圏LMTの空室率は対前期比1.7ポイント低下の8.6%となった。今期は新規供給がなかったが、前期竣工物件で空室の一部が消化されたことが空室率低下の理由である。移転元のスペースも後継テナントが決定するなど、テナントに動きがみられるようになってきた。2022年は約17万坪の大量供給を控えているため、オーナー側のテナント誘致活動も活発になっている。実質賃料は3,590円/坪、4四半期連続で対前期比横ばいとなった。

Figure 3 : 中部圏 LMT物流施設 需給バランス

Figure 3 : 中部圏 LMT物流施設 需給バランス

福岡圏

LMTの空室率は0.0%

今期から福岡圏LMTの指標を公表する。空室率は2019年Q2以来、0.0%が続いている。今期は鳥栖地域の新規供給1棟が満床で竣工。2021年はさらに2棟の供給が予定されているが、いずれも既に一棟借りで満床となっている。従前は供給が少なく、倉庫スペースが不足していたため、供給が増えても需給バランスは逼迫したままである。そのため、まとまった面積を必要とする企業は、さらに先の開発計画の賃借を検討している。実質賃料は3,170円/坪、対前期比+0.6%。LMTの開発が広まる中で、より使いやすい構造の施設は評価が上がりつつある。

Figure 4 : 福岡圏LMT物流施設需給バランス*

Figure 4 : 福岡圏LMT物流施設需給バランス*

その他の地域

地方都市で大手企業の内定続く

今期もいくつかのマルチテナント型の施設で、テナントの決定もしくは内定が進んだ。高速道路へのアクセス性が良い、または住宅地至近といった、優れた立地の開発計画については、大手企業が早い段階から入居の検討を始める例がみられる。空室不足感が強い地域では、賃料水準が見直されつつある。特に札幌市周辺は、これまで他の都市と比べて賃料水準が低かったこともあり、今後は一段の上昇となりそうだ。

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