東京主要3区全体のオフィス賃料相場の推移を把握した上で、次に、都内ビジネスエリア毎の相場動向を見てもらいたい。グラフは、弊社が作成する都内大型ビル市況資料をベースに、賃料相場レンジを実額ではなく指数に変更したもの(グラフ単位未記載)。対象は規模・設備等で各エリアを代表する複数のオフィスビルで、予想成約賃料をもとに作成している。賃料単価は記していないが全エリア同様に指数化しており、グラフ単位は等しくエリア毎の比較が可能なものとなっている。もちろん、グラフの上部は高額賃料となり、下部は低廉な賃料。帯の上下の長さは、賃料相場レンジの上限・下限の価格差を示している。グラフの見方としては、前ページに記したレンジグラフとほぼ同様である。
エリア毎の賃料相場の高い・安いは、個々のグラフを見て読者ご自身に判断いただくとして、ここで注目してもらいたいのは賃料相場の推移である。特にリーマンショックからの相場下落期と、昨今の景況感が反映される2012年末〜2013年初めの、グラフ右端の動きがポイントとなろう。
まず相場下落期だが、下落傾向が現在でも継続しているか否かが、最も注視すべきチェックポイントとなる。次いで、いつ頃に下落傾向がストップしたのかもエリア毎に様々で、移転検討時にエリアを判別する際に留意したい点だろう。また低下の様子も、レンジ幅を維持し全体に下落するエリア、下限値は比較的そのまま上限値が低下してきたエリア、そして上限値は維持されたまま下限値のみが低下するエリアと、それぞれ各エリアのマーケット特性を判断する材料となる。
逆に最近の相場上昇局面であるが、きっちりとその傾向が表れているエリアと、そうでないエリアは一目瞭然である。加えて、現在はまだグラフに示されてきてはいないが、下落期同様に相場上昇の際にも、その上がり方にエリア毎の差異が表れてくるものと思われる。下落期の傾向がそのまま上昇期にも反映されるわけではないが、過去の動向からその上昇傾向を推測することはできるかもしれない。
ここでは、弊社の有するデータの一端を簡易に示し、その見方を解説した。実際の移転計画においては、実施時期の決定やビル選定に当たり、より確かな判断基準が必要となろう。ぜひCBREのビル営業担当にご相談いただき、より詳細なマーケットデータに基づいた、ベストなタイミングのベストなビル選びで賢い移転を行っていただきたい。
次は、東京の市場動向に続き各地方拠点の賃料相場推移とマーケット動向を、現地目線で解説する。