空室率は再び2%台に低下。既存空室の消化が進む。
新築ビルは竣工時満室稼働
当社調査による、2017年9月期の広島市内中心部の空室率は2.8%と、対前期(同年6月期)比0.2ポイントの低下となった。テナント需要の多くは、引き続き新設・拡張等の前向きな移転が占めており、加えて館内増床も多く、既存空室の消化が進んでいる状況である。
そのような状況下で、待望の新規供給である「スタートラム広島」が11月に竣工した。隣接する2棟の建て替えによるもので、広島中心部においては5年ぶりの新規供給となった。ワンフロア約350坪の大型ビルで、募集当初より引き合いが多く、フロア集約による効率化、環境改善やBCP対策といったテナント企業の需要を取り込み、竣工前に募集がストップされた。今後、同ビル移転テナントの二次空室が発生するが、この状況下で空室率が大幅に上昇するとは考えにくい。引き続き需要が底堅いことと、今後の新規供給が2019年まで見られないことから、しばらくは、貸し手市場が続くと予想される。
広島駅北エリアでは「広島二葉の里プロジェクト」が、中心部では「新広島ビル」が、ともに2019年に竣工を予定している。「広島二葉の里プロジェクト」は、2010年に竣工した「アクティブインターシティ広島」以来の広島駅周辺における大型新規供給である。近年増加している、同エリアへのテナント需要の受け皿として、大いに期待されている。
桃太郎大通りの空室率が大幅低下
岡山の空室率は、引き続き低下傾向にある。特に「桃太郎大通り」で低下幅が大きくなっている。これは、岡山駅前を中心とした「市役所筋」の主要ビルに空室がなくなったことや、比較的グレードの高いビルの空室が、同エリアに残っていたためだと考えられる。
また、今期は新規開設が多く、増床移転は少なかった。移転先がなく、現状維持のテナントが多いものと考えられる。逆に、館内減床や賃料交渉が妥結せず、より小型のビルに移転を決めた企業も散見された。館内減床をする企業は、広島や大阪に主要業務を移管したもので、小型ビルへの移転は、20坪前後の営業所の移転となる。岡山の出先が、支店ではなく営業所が多いことによる特徴であろう。マーケットとしては、この新たな空室予定が、解約予告期間中にどれだけ消化されるかが注目されている。
広島支店 山上 政文・越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 9,000~11,000 円/坪 | 面積帯を問わず、空室が少ない状況が続いている。広島駅の南北自由通路が開通し、中心部へのアクセス改善により需要が増加傾向。 | |
広島駅南 | 9,500~12,000 円/坪 | 新規供給がなく、空室が非常に少ない状況が続く。賃料水準も上昇傾向。 | |
八丁堀・紙屋町 | 10,000~14,000 円/坪 | 「スタートラム広島」が竣工し、今後、二次空室の発生が見込まれる。築浅物件と築30年を超える物件とで、賃料の差が拡大。 | |
大手町 | 9,000~12,000 円/坪 | 平和大通りより南側に既存空室が多い。賃料相場も比較的リーズナブル。駐車料金も中心部に比べると安い。 | |
岡山桃太郎大通り | 8,500~12,000 円/坪 | 岡山駅前の新規開設需要をグレードの高いビルが取り込み、空室はさらに減少傾向に。 | |
岡山市役所筋 | 9,000~13,000 円/坪 | 継続賃料の見直しを行うビルが増加。数少ない空室の新規賃料も上昇傾向にある。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,400 円/坪 | 依然として倉庫不足は継続している。新たな空室はなく、賃料相場は上昇している。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 | 市内同様テナントの移動がないため、確保できる物件が不足している。来春、広島西風新都IC近くで、約4,000坪の倉庫が竣工する。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,500 円/坪 | 大型新築物件では竣工前に入居企業が決定した。また、他の大型物件の稼働率も高水準で、物件は慢性的に不足気味である。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。