空室率は横ばいで推移するも、移転需要は依然として堅調。
大型面積の確保は困難に
当社調査による、2017年6月期の広島市内中心部の空室率は3.0%と、対前期(同年3月期)比で横ばいとなった。今期は、一部解約や撤退等で発生した中小規模の空室に対し、新規開設や館内増床等の需要で埋め戻すケースが多く、また、マーケット内での目立った大型空室の動きが見受けられなかったこともあり、空室率は横ばいで推移した。
空室率に変動はなかったが、テナント需要は依然堅調である。広島市中心部で5年ぶりの新規供給となる、11月末竣工予定の「スタートラム広島」については、大型面積を確保できる希少性の高さから、竣工前にテナントがほぼ決定している状況である。優良物件の空室が減少傾向にある状況下で、まとまった面積の確保が困難であることから、新築ビルに限らず、100坪以上の空室に対しては、解約予告期間中に商談が集中し、早い段階で後継テナントが決定するケースが多くなってきている。
今後も「スタートラム広島」の二次空室の顕在化や、2019年に竣工を迎える「広島二葉の里プロジェクト」「新広島ビルディング」のリーシングが開始され、継続的に大型面積がマーケットへ供給されることになる。そのため、より一層、テナント需要を喚起することになると予想される。
岡山の市況は逼迫
岡山の2017年6月期の空室率は、やや低下といった水準だが、数値に表れないところで市況は逼迫してきている。解約予告の出たビルに、退去を待たずに申し込みが入る事例が複数見られ、特に、岡山駅徒歩圏のビルや、ランドマークビルに人気が集中している。
景気回復を受け、移転理由の多くを立地改善や面積拡張が占めているものの、企業サイドは、移転に見合う優良物件が出るまで待つ傾向にある。
オフィスビルの供給面では、水面下で、複数のビルの建設計画が検討されている。しかしながら、2018年に竣工するビルはなく、そのため、前向きなテナント需要の受け皿が存在しない市況は、さらにタイトな状況になっていくと思われる。
岡山市は、「第六次総合計画」を策定した。これは、中四国へのアクセスの良さから、拠点性を生かした企業誘致の推進を促進していくものである。加えて、中心ビジネス街の街づくりの策定にも、期待したいところだ。
広島支店 鈴木 歓・越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 9,000~11,000 円/坪 |
県外企業などを中心とした新規開設の需要が依然として多く、小規模面積帯の空室消化が進んでいる。
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広島駅南 | 9,500~12,000 円/坪 | 面積の大小にかかわらず空室が少なく、物件確保が困難な状況が続いている。 | |
八丁堀・紙屋町 | 10,000~13,000 円/坪 |
築浅・大型物件以外についてもテナント需要が堅調で、賃料は上昇傾向にある。
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大手町 | 9,000~12,000 円/坪 |
中心部エリアの空室率が低い状況が続いていることから、大手町エリアを選択肢として検討する企業が増加してきている。
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岡山桃太郎大通り | 8,500~12,000 円/坪 |
リニューアルビルを中心に、市役所筋のニーズを取り込み、空室はさらに減少。
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岡山市役所筋 | 9,000~13,000 円/坪 |
解約予告後、空室が顕在化する前に申し込みが入るビルが散見され、空室率は横ばい。市況は引き続きタイトである。
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広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,400 円/坪 |
300~500坪程度の引き合いが増加しているが、対応できる物件がほとんどなく、物件検索期間が延びている。
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広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 |
大型新築物件が1棟春に竣工した。新築賃料、最小区画2,000坪の募集に様子見の状況があり、満室まで若干時間が必要か。
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岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,500 円/坪 |
大型既存物件の空室消化は緩やかではあるが進んでいる。また、大型建築中物件に関しても、決定・引き合いが増えている。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。